ときどき、ものすごく不安になんねん。
はとんでもないくらい可愛くて、優しくていい子で、
おまけに頭もいいもんやから、俺なんかと一緒に居ってもええんかなって考える。
俺の取り柄と言うたら、足が速いとかテニスしかないし。勉強なんて・・・もちろんのことで出来ひんし、
顔はまぁ・・・別段かっこええっちゅうわけやない。中の下?白石なんかの隣に立ったら、それこそ惨めや。
こんな感じで俺のいいとこなんて10個も見つけられへん。
それに比べてのいいとこは10個どころか無限大にあげることができる。俺なんか、
「俺なんか・・・なに?」
「の隣に居るのが俺なんかでええんかなって」
「そんなん・・・・意味わからんわ・・・」
俺の不安を静かに聞いとったの顔が歪んだ。
でもな、しゃあないやん。こんな能天気な俺でも、不安になんねん。
のことが好きすぎて、今の現状が幸せすぎて、逆に怖くなるんや。
・・・・・・なーんて思う俺は、最高に情けないなぁ。
こんなこと言うてもが困るだけやのに。
そう思ったら、胸の中でじわじわと罪悪感が募ってきて、
未だ険しい表情を浮かべているに向け俺は小さく「ごめん」と呟いた。
すると、さっきまでの表情から一変、の表情が崩れて、薄い膜を張った瞳が俺を勢いよく睨みつける。
「謙也のバカたれ」
「否定はしません・・・」
「ありえんくらいのアホ!バカ!ドジ!ドジっ子!!」
「せ・・・いや、ドジっ子はなんかちゃうやろ」
「謙也はドジっ子やもん!ドジ!そいで、その、おバカさんなんや!!」
いつもは出さない大きな声では言う。
だが、言っていることはめちゃめちゃで、なんだか・・・おん、かわええと思う。・・・俺、重症やな。
黙ってを見つめていたら、も口を噤んだ。
ふるふると揺れる長い睫はとても綺麗で、胸が苦しくなる。
こんな姿を俺に見せるがすごく、すごくすごく、・・・すごく、
・・・あぁ、そうや。俺は、不安よりも、
「ごめん」
「・・・」
「、好きや」
「・・・知っとる」
「せやけどな、やっぱ俺はの隣に居ってもええのかなって思う」
「・・・」
「でも、それ以上にずっとの隣に居りたいなとも思っとる」
「・・・私もずっと一緒に居りたい。謙也以外の隣なんて嫌や。
私だって、不安いっぱいやし。謙也かっこええし勉強はできんくても運動できるから女子にモテモテやから、
私も不安だらけやったちゅうねん」
愛しい。ほら、こんなこと言うからまたさらに愛しくなった。
俺が不安なようににも不安があった。
その不安が俺と同じで、自然と胸の苦しみが温かさに変わる。
たまらず、ぎゅっとを抱き締めた。
もぎゅって抱き返してくれて、あーもう、あかんわ、この生物。かわえすぎ。
少し、遠くみえた。
不安が俺をから遠ざけようとした。けど、そんなん無理やったな。
やって、こんなにもが好きでたまらんのやから離れられるわけないやんけ。
遠く、みえた。なら近づけばいい。どちらかがこうやって、踏み出せば、
いつだって、俺達の距離は
ゼロになる。