んーこれはどないしたらええんかな?
数学の問題集と睨めっこを始めて早2時間。
困ったことに全くわからん。んーどないしよー。
なんてシャーペンを転がしながら考えとったら、急に謙也に会いたくなった。
毎日学校で会ってはいるが・・・やっぱそれだけじゃ足らん。
どちらかの家で2人っきりでグダグダ過ごす時間がほしい。
だが、今はテスト勉強期間中・・・あぁなんちゅーことや。
じぃっと携帯を見つめて謙也に電話とかメールとかしようかなとか思っても、
あっちも勉強中やからダメ!って私の中の天使が叫ぶからできないでいる。
しかし、謙也不足の私は勉強なんかに全然集中できとらん。
あーぎゅーってしてほしいなぁー。そんで、謙也にちゅーしてーまたぎゅーってすんねん。
集中して考えるとすれば、やはり謙也のこと。
謙也謙也謙也ーあぁ謙也が足らんんんん。
バタンと後ろに倒れこんで、もう寝てしまおうかとか思った。
どうせ勉強は進まないし、頭ん中謙也でいっぱいになって寂しくなるし・・・うん。
ごろん、もそもそとこたつの中に入り寝る準備はできた。
さて、寝ますか。そう心の中で言って目を閉じた瞬間、机の上でバイブの音が鳴る。
なんやー私は今から寝るんやぞー、と思いつつのそのそこたつから出て携帯を手に取る。
すると、なんてことだ!ここここれは、
「謙也!?電話や!!」
『おー電話やでー』
「ひ、久しぶりな気する・・・」
『ははっお前何言うてん!今日も一緒に帰ったやんけ!』
「ちゃうの!最近テスト勉強せなあかんからって家帰った後の電話とかしてへんかったやろー!」
『せやなー電話は確かに久しぶりか』
「おん!」
謙也が見てるわけではないけど、私は慌てて乱れてた髪の毛を正した。
というか、謙也!!今めっちゃ会いたくて声聞きたくてぎゅってほしい謙也からの電話!
私は謙也の声聞いただけですごくすごくテンションがあがって、さっきまでの眠気も吹っ飛んだ。
そしてむくむくと勉強の意欲まで沸いてくる。すごい、謙也!
「謙也はすごいなぁ!」
『は?なにがや?』
「だってな、私勉強だるくて寝ようとしたら謙也から電話かかってきてな、ミラクルやで!」
『?そうなんか?』
「そうなんです!」
自分でも何言ってるかわからなくなってきた。
もう本間に謙也のこと大好きすぎて口がうまく回らん。いっぱいいっぱいになってきた。うぅどないしよ。
改めて私の謙也不足は恐ろしいなと思う。ちょっとの間言えてなかった大好きがすぐ私の口塞ぐんやもん。
でも謙也はめちゃくちゃなこと言っとる私の話をちゃんと聞いてくれた。
時より突っ込みながらやけど。えへへ、だけどそれがまた嬉しかったりする。
『お、もうこんなに喋っとったんか』
「へ?・・・え、まだ30分しか喋っとらんで・・・?」
『や、まぁそうなんやけど・・・今テスト勉強中やろ?せやから、今日はこれで我慢っちゅうか・・・』
「えー!!」
『おっ俺かて!もっとと話したいけどしゃあないやん・・・
俺、点数ひどかったらテニス禁止てオサムちゃんに言われとるし・・・』
「・・・じゃ、しゃあないな・・・寂しいけど、また明日会えるんやもんね!わかった!我慢する」
『・・・』
謙也も一緒!謙也だって、寂しいんやから私だけとか思って我侭言ったらあかん。
我慢我慢。それに、点数悪くて謙也がテニスできなくなるんは嫌やしなー。
やって私は、色んな謙也ん中で一番好きなのはテニスしとる時の謙也なんやもん。
名残惜しいが、電話を切ろうと一言二言お別れの挨拶をする。
それから切ろうと思ったが、謙也が電話越しで唸るのが聞こえた。
どないしたんやろ?
「謙也?」
『あー、あ、そのな、』
「うん?」
しどろもどろの言葉に首を傾げながら、私は謙也の言葉を待つ。
暫くして、謙也が私の名前を呼んだ。
「なぁに?どないしたん?」
『あんな・・・その、テスト終わったら、ぎ、ぎゅってさせてな?』
「っ・・・!!うん!ぎゅってしてな!」
最後の最後でとってもとっても嬉しい言葉を聞いてから電話をせーので切った。
あーもう本間にもうっ!!何なん謙也は!!最後のあれは殺し文句やろ!!
可愛くてかっこよくて最高すぎで素敵すぎ!!大好き!!
心の中で盛大に叫んで緩ませまくりな頬のまま、私は再度机に向かうことを決意した。
あなたは私のやる気の元
(よーし、数学頑張るでー!)