ええええええ!?いや、まさか、そんな・・・!?
ベットから起き上がった瞬間、視界がグラリと揺れて俺はまたベットにダイブした。
うまく動かない体に停止する思考。ボーっとしてたら時計の短針は8時をさしている。
あーこのままじゃ遅刻やんけ・・・。そうは思っても体がうまく動かない。
おいおいどないしたん俺の体。
んーと悩んでみても頭は熱くなるばかりで何の解決も見出さん。
「おーなんな・・・ん!?」
声を出してみて気づいたこと。ちょっ、今のしわがれた残念な声は誰や?
ちょ、俺?あーと声をもう一度出してみた。
うん、このしわがれた残念な声はどうやら俺のようやな。・・・んん?しかしこれは・・・、
ブブブブブ。なんやこの緊急事態に!ありえないくらいだるい体で慌てて携帯を開く。
と、そこに表示されてる名前に体が飛び跳ねる。
「っ!?」
『え・・・あれ?謙也?』
「お、おう俺や!」
『・・・え、なんか声おかしない?』
「お、おう・・・」
『・・・もしかして・・・風邪!?』
「風邪!?俺がっ!?」
ごほっ!!が言うた単語に盛大にむせた。
そう、これはむせただけや。せきとちゃうで。
しばらくごっほごほとやっとったら、が心配そうな声を出す。
『だ、大丈夫!?謙也熱ある?薬飲んだ?』
「え・・・風邪ちゃうよ。熱もないで。薬は飲んどらん」
『ええええあかんよそれ!ちゅうか声変やもん!絶対風邪や!早よ熱測って薬飲んで寝とった方がええて!』
そこまでに言われるとなんや熱かも・・・という気になってくる。
そういや体熱いし。こりゃ熱測りに行かなあかんな・・・。
だるく重たい体を起こし、電話は切らないままのそのそと下の階に下りる。
扉を開けて母親がいるだろうリビングに顔を出すが・・・おかしい。誰も居らん。
きょろりと見渡すとテーブルに一切れの紙。なになに・・・『友達と遊びに行きます。朝これ食べてね』
・・・え。
『謙也?どないしたん?ちゃんと熱測った?』
「えっ・・・あー」
『?体温計見つからんの?お母さんはどないしてん』
「友達と出かけたみたいや・・・」
『えっ!じゃあ今謙也家に一人なんか!?そんなんあかんやん!私今から行くっ』
「は、ぁ!?そ、それこそあかんて!別に俺一人で大丈夫やから!そない心配せんでもええよ?』
『私が嫌やねん!風邪で辛そうな謙也をほっぽいて学校なんて・・・!考えられん!
あと学校で謙也と一緒に居れんのも考えられん!せやから今から行く!』
「いやいやいや!その気持ちはめっちゃ嬉しいねんけど、あかんから!ちゃんと授業受けなあかんで!」
『でもっ・・・風邪引いとって苦しいときに一人って辛いやんか・・・』
「・・・」
なにこの子、めっちゃかわええんやけど・・・!そこまで俺のこと心配してくれて不覚にも泣きそうになる。
これも全部風邪のせいや。少しばかり視界を歪ませながら完全にこっち来る気満々なをなだめる。
・・・まぁ本音言うと来てくれるなら来て欲しいなぁなんて思うねんけど、そんなん言えるわけない。
のためやから我慢せな。・・・せやけど会いたいなぁ・・・なんて女々しすぎやろ自分。
そんな自分にため息が出てくる。いやしかしここでため息なんかついたら、またに心配されてしまう。
ため息飲んどこ。
「あーその、せやから俺は大丈夫なわけで・・・」
『・・・謙也は私が看病に来たら迷惑なんか?』
「迷惑なわけないやんけ!むしろ来てほしいくらいやわ!」
・・・おいおいおいおい何言うてん自分。これダメやろあかんやろ。
のこと一生懸命説得しとったあの時間これでパーやないか。
俺の一言で電話の向こうのも黙る。
え、なんやのこの沈黙。しばらく黙ったままだったが、時計をみたらもう朝のHRが始まる時間。
これはまずいと思い口を開くが、その前に家のピンポンが軽快な音を鳴らした。
ちょっこんなときに・・・なんちゅータイミングの悪さや!!
電話を耳に当てたまま急いで玄関に向かう。おおおおフラフラして歩きにくいいいい。
うまく動かない体に苦戦しながら、
もう息も絶え絶えに玄関に辿りつくと玄関の向こう側に「今出ますー」と声をかけて鍵を開けた。ら、
なんてことだ。ついに俺は幻覚が見始めたらしい・・・。だってそこには、
「あっ謙也!おはようー!」
りんごを持った可愛らしい天使もといがいました、なんて・・・なぁ?
あぁまったく、
君には敵いません。
(なっ・・・なんで!?えっ、!?)
(おん、ですー)
(あああかんて!何しとん!早よ学校戻り!)
(いーや。謙也くん、ええ子やから大人しく私に看病されて・・・な?)
(っ、ひ、卑怯やそれ・・・(かわいすぎやろ・・・!)
(はいはい、家ん中入った入ったー)
(はぁ・・・風邪移っても知らんで・・・)
(謙也の風邪やったらいくらでももらったるもん!)
(っく、(か、かわいすぎやろ・・・!!)