「これを、し、ばあさんとこに届けてくれ」
「やだよ、めんどくさい」
「めんどくさい言うな。俺は今手が離せないんだよ。だから、」
「五枚でいいよ」
「・・・」
「わかったよ、わかったから、俺の嫌いな物を鍋に入れようとしないでくれる?」
「じゃあ、頼んだぞ」
「はいはい。チッ」
「舌打ちすんな」
ああ、面倒臭い。
この一言につきる。
何故俺が、あんな奴にところに行かなくては行けないんだろう。
いいじゃん、ほっとけば。それで死ねばいいじゃないか。
あ、そうだ。
腹いせに毒でも盛ろうか。
ドタチン(母)に持たされたバスケットの中にあるサンドイッチにさり気なく潰しておいた。
ホントは毒を盛りたかったけど、生憎今は毒を持っていない。
ああ、ついてないなぁ。
そんなことを思いながらも、俺は今日の夕飯のために歩き出す。
「しーねばーいいのにーしねばいいのにーしんでしまえばいいのにー」
某歌を歌いながら森の前にたどり着く。
森への入り口にはにオオカミ注意と書かれてる看板を見つけたが気にせず俺は入っていった。
ぶっちゃけ俺強いし。
オオカミ如きにやられる気ないし。
よくオオカミなんて目じゃない化け物相手にしてるし、だからオオカミとか聞いても全然怖くない。
というか、昨日まではこんな看板なかった気がする。
おかしいな・・・誰がつけたんだろ。
というか、ドタチン(母)はオオカミなんかいる森へ使いに出すなよ。
まあ別に俺はやられないけど。
服の中に潜ましているナイフを取り出して遊びつつ、俺は綺麗な花畑がある場所を横切ろうとした。
が、時間はまだまだあるしそんな急ぐことでもないから、少し寄り道をすることにする。
別に俺は花を愛でる趣味はないけどね。
「あ、嫌がらせに花持っていこうかな」
バスケット一杯に詰めて持ってたらどんな顔するかな?
あ、花と言っても枯れかけの花だけど。
そして俺は花畑に足を踏み入れたのだった。
はじまりはじまり、の話。