俺が踏み入れたそこは一面真っ白な花が咲いていた。
小さくて可愛らしい花。
俺と正反対だ。
恐らく俺に一番似合わない花だと思う。
そんな綺麗な花畑の中で、可愛らしく咲いている花ではなく、枯れかけの可哀想な花を探す。
いや、むしろ毒のある花のがいいかな?
まあ彼が嫌がるならなんでもいっか。
ふんふんと美声な鼻歌を披露しながら、枯れかけの花を引っこ抜いていく。
バスケットの半分をそれで埋めて、残り半分は違う枯れかけの花と毒のある花で埋めてやろう。





10分程度をその作業に費やし、次の花畑に入ろうとした時だった。
小さな呻き声が俺の耳に入り、俺はふと足を止める。
聞こえたのはこの場所から左の花畑だ。
本当は右に行こうと思っていたのだけど、聞こえた声は女の子の声だった気がしたので興味本位で俺は方向を変え左に向かった。





「えーっと、こっちだよね?」





きょろりと辺りを見渡すと真っ白ではなく、今度は一面に真っ赤な花が広がっている。
うん、俺にはこっちの花のが合ってるな。
この花もバスケットの中に入れようかと思ったんだけど・・・こんなにも綺麗な花を入れるのは勿体無かったから止めた。
なんたって俺に似合う花だしね。
暫くキョロキョロしていたら、近くの茂みがガサリと揺れた。
その茂みからひょこりと飛び出てきたのは、細く白い足。
・・・見つけた。



茂みにこっそりと近づいて、ゆっくりと茂みの裏を覗き込む。
徐々に見えてくる姿に俺は息を呑んだ。
そこにいたのは、すやすやと眠る無防備な・・・可愛い女の子、いやオオカミだった・・・。
















見つけた見つけた、の話。