早く早く早く、
歩いていた筈なのにいつの間にか走っていた俺の足。
もうすぐ会えると思うと自然に頬が緩んでしまって



先輩もういるかな……



僅かに緊張しながら部室の扉を開けると。


「あ、利央!今日は早いねー」


にっこり笑う先輩と目が合った。
心の中ですごく嬉しくなるのを感じながら自分も挨拶をする。


「ちわっス!先輩も早いっスね」

「うん、HRが早く終わったの」


こんな何気ない会話も先輩とするなら嬉しくて嬉しくてたまらなくなる。

高校に入って一目惚れしてからずっと片思いを通していて未だに自分の気持ちを隠したまま。


…先輩のことは大好きだけど、


だけどもし自分の気持ちを伝えて、今の関係すら壊れてしまったら
そう思うとどうしても踏み切れなくて。



……ていうか俺にそんなこと出来るかわかんないし…



はぁ、と肩を落とすと不意に先輩と準さんが話してるのが目に入る


準さんが面白そうに先輩に何やら言って先輩は顔を赤くして必死に何か言い返している


…なんだかすごく面白くない






「男の嫉妬は醜いぜ利央」

「だ、だって……って慎吾さん!?」


いきなり横から現れた慎吾さんに驚きながら声を小さくして言い返す。


「し、嫉妬なんてしてませんよぉ」

「お前は顔に出すぎなんだよ。バレバレ」


慎吾さんの言葉に何も言い返せなくてう、と呻くしか出来ない俺。


「お前まだに言ってなかったの?」

「…言える訳ないじゃないですか」

「まー…、お前の勝ち目は薄いかもしれないけどな」

「え!?」

「見てわかんないか?が準太のこと好きだって」


どかんとハンマーでも打ち込まれたみたいな衝撃が頭に来る。

嘘だ、そんな話、



ちらりと2人を見るけどなんだか悔しいくらいお似合いに見えてしまって

そんな現実を見たくなくて重い重い足を引きずって逃げるようにグラウンドへと向かった。








「……純粋過ぎるのも考えもんだな」       







部活が終わってもどうしてもさっきの事が頭を離れなくて、本人に確かめるのが一番だと思った俺は必死に先輩を呼び止めた。


先輩っ!」

「なに利央?泣きそうな顔してるけど」


よしよしと頭を撫でてくれる手に情けなくも泣きそうになりながら震える声で言葉を絞り出す。


「、先輩に好きな人がいるって本当ですかっ!」

「え?!い、いやそれは…」


途端に先輩は顔を赤くして目をあちこちに泳がせている



…やっぱり、準さんが好きなんだ…



「り、利央?あのね…」


言葉の続きを聞きたくなくて、準さんに先輩を取られてしまうのが悔しくて、すがりつくように先輩を抱きしめた


「準さんよりも…俺の方が、ずっとずっと先輩のこと好きです」

「利央…?」

「先輩が、俺を好きじゃなくても、俺は諦めませんからっ!」


うっすら涙さえ滲んできたけどぎゅっと抱きしめる力は緩めない。

離してしまったらもうそれで終わりのような気がしたから。




ふいにくすくすと笑う声が耳元で聞こえる。




「…先輩?」

「馬鹿だなぁ、利央は」

「ばっ…!?」

「別に私、準太のこと好きじゃないよ」

「えっ!?」

「確かに、好きな人はいるけど別の人」


柔らかく笑った後に誰だと思う?とからかうように聞いてくる。





「誰よりも優しくて、誰よりも泣き虫で、」





「私が好きなのは、利央だよ」







気付いて欲しい、と願ってばかりだったけど

気付いてなかったのは、俺の方だった
















地平線みたいな僕ら









「う、嘘じゃないっスよねっ?!」

「嘘じゃないよ、ほら泣かない泣かない」





(ま、結果オーライだな)
(…慎吾さん、棒読みもいいとこですよ)









ころ太さんへ捧げる1234打記念利央夢です!ごめんなさいちょっと慎吾さん出ばり過ぎましたか、ね…
こんなのでよければどうぞ貰ってやってください^ ^
いつでも苦情・返品受け付けております!


20081214 UP







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どああっは・・・・!!!
激しくはげ萌えましたよ碧刃さん・・・!
無茶なリクしてすみません!
だけどそれに答えてくれたあなた、ホント神!
ぐへへ・・・出ばり慎吾さんも素敵でしたよー
胸がハンパなくときむきしました!
本当に素敵な夢ありがとうございました!

ころ太