依頼をこなして船に戻ってくるとぱたぱたとこちらに向かってくる足音。
誰かは予想がつく。
「…ユーリ!」
ほらな。振り向くと予想通りにこにこ嬉しそうにこちらへ走ってくるこの世界の救世主。…には見えないのは俺だけか?
「おかえり!」
手を掴まれ上下にぶんぶん振られて、視界も一緒に揺れる。、と宥めるとにぱっとこれまた嬉しそうに笑った。
「大人しく留守番してたか?」
「してたよ、でもやっぱり暇だった」
いつもめまぐるしく動き回ってるにたまには休日があってもいいんじゃないかということで今日1日休みを命じられた。
しかし案の定することがなくて退屈していたらしい。
「…で?オレに退屈しのぎの相手して欲しいって?」
「うん!」
そうにっこり微笑まれては断るものも断れない。……まぁ断っても無理やり付き合わせられるんだろうが。
「はいはいっと…。それじゃあオレはなにをすればいいんですかね?」
「えーっと、…こいばな!」
一瞬思考が停止して目の前で何もわかってなさそうな顔をしてるに、は?と聞き返した。
「だから、こいばな!」
「…お前ちゃんと意味わかってるか?」
「失礼な。ちゃんとわかってるよ」
むすー、と頬を膨らまして不満そうな顔をするにやれやれとため息をつく。
そういえば最近、カノンノやエステルなんかと一緒にそんな話をしていた気がする。
恐らくその「こいばな」とやらもカノンノかエステルが教えたんだろう。
「…それをオレがするのか?」
「? そうだよ」
…やっぱり絶対わかってないだろ。
普通そういう話は女性の間で話して楽しくなるのであって異性である男性に話して盛り上がることはあまりないんじゃないか、と思ったのだが。
「ユーリはどんな人が好きなの?」
「………お前な」
へにゃりとした顔で楽しそうに聞いてくるに別の話題にしようとも言えず結局そのまま「こいばな」をすることになった。
「やっぱりエステルみたいな人?」
「そりゃまたなんで?」
「話してる時楽しそうだよ」
「誰だって仲良いヤツと話せば楽しいだろ?」
「あ そっか」
エステルだと思ったのに。と首を傾げながら不思議がっているの短い髪をくしゃりとかき混ぜて苦笑した。
「そういうお前にはいないのかよ?」
「いるよ!」
てっきり、よくわからないとかそんな答えが返ってくるのかと思っていたのでその答えに少し拍子抜けしてしまう。
まさかがそんな感情に芽生えているとは知らなかった。
相変わらず楽しそうなは晴れ渡っている青い空に視線を向けて気持ちよさそうに目を細める。
「みんなだよ」
「は?」
「アドリビトムのみんなが好きなの」
えへへと照れくさそうに笑っているをしばらく唖然と見つめてそれから我慢出来なくなって思わず吹き出した。
「っくくく…まぁ、今はそれでいいんじゃねぇの?」
「? え、なんで笑うの?」
やはり何もわかっていなかった少女の頭を再びくしゃくしゃと撫で回してしばらくそのまま笑い続ける。
も最初はきょとんとしていたがやがてつられるように笑い始めた。
「ユーリ、楽しそう」
「ん、まぁな」
「じゃあ、ユーリと私は仲良し、ってことだね」
「そういうことになんのかね」
そう答えると嬉しそうにわーい、とオレの手を巻き込んで万歳の形を作る。
そのまま額を小突いてやろうとした時、ぐぐーと間抜けな音が響いた。
「………おなかへった」
「何がご希望で?」
「ユーリ特製クレープシュゼット!」
紅い瞳をきらきら輝かして即座に答えたはスキップしながらホールに続く扉へと向かっていく。
もしかしたら最初からこれが目当てだったのかもしれない。
仕方ないと思いつつも顔がまんざらでもないことを自覚してゆっくりの後を追う。
「仲良し、ね…」
こりゃ相当頑張らないとこの無邪気な救世主には気付いてもらえないらしい。
「あんま待つのは柄じゃねぇんだけどな、」
「ユーリー!早くー!」
扉の前でぶんぶん手を振りながら待っているに肩をすくめて今行くと足を踏み出す。
オレの好きなヤツ?
そりゃ、
待つのも悪くない
(お前に決まってるだろ)
ころ太さんに捧げる4444打ユーリ夢です。お待たせしてしまって申し訳ございません…!
TOW2設定ということで少しわくわくしながら書かせて頂きました。しかもうちの子設定という素敵なリクだったので私にしてはすらすら書けたと思います。でもあんまりうちの子という感じが出せてない気が……!
もちろん書き直し等受け付けております!リクありがとうございました!
20090504 UP
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またもや碧刃さんの神サイトにてキリ番踏みましたー!きゃほーい!
碧刃さん的にはまたかよテメェですね☆
そしてTOW2設定しかもユーリでという我がままに応えていただきありがとございますゥゥゥゥ!!
相変わらず胸キュンなものを書きやがりますな・・・もう大好き!!
ホントにユーリかっこよすぎでキュンキュンしますよ!!よっ、この色男!と叫びたくなります←
こんなにも素敵なものを本当にありがとうございましたー!あああによによが止まらない!
追伸、またキリ番踏んだらよろしくね。(こら)
ころ太