「おーいー!!一緒にサッカーやろうぜー!!」

「やーらーなーいー!!」









こんにちわ。おれは雷門中サッカー部でDFをやってる、風丸一郎太です。 今日も円堂は元気にさんをサッカー部に誘っているみたいだ。 毎度思うのが、サッカーやってる円堂から逃げ切るさんはすごい足が速いということ。 持久力もあるみたいだし・・・今度おれと競争してもらおうかな。 って、話が逸れたな。そんなわけで毎日飽きもせず諦めもせず円堂はさんを勧誘していた。 なんでそんなに円堂がさんを追いかけてるのかって?その理由はすごく簡単なことさ。 円堂はさんのことが好きなんだ。あいつが言わなくてもわかる。 親友のおれが言うんだ間違いない。 おれが円堂と話すとき必ず上がる名前がさんだ。 今日はどういう風にさんを勧誘するとか何の話したのかとかさんが何してたとか・・・ サッカーしか話題がなかった円堂がまさかこんな話をするなんて正直驚きだ。 確かにさんとはあまり話したことないけど、気さくでいい子だと思う。









はホントに足速いなー!風丸といい勝負だ!ポジションはそうだなーどこがいいかなー!!」

「知らないよ!!私サッカーよく知らないもん!」

「だったらおれが教えてやるよー!」

「いらない!!」









サッカーボール片手に円堂が必死に説得するも、さんは断固として首を縦に振らない。 むしろ横に振るばかり。 その光景をおれだけじゃなく他のメンバー達が呆れたように見ていた。 うん、円堂の諦めない精神は本当にすごいよな。









「おれっどうしてもと一緒にサッカーしたいんだって!」

「別に私はサッカーできないよ!」

「知ってる!だけど、おれ・・・ずっとと一緒にいたいんだ!」

「は・・・あああ!?」









え、これはいきなり告白・・・え、円堂にそんなことできるとは思わない。 きっと本音がつい口から出てしまったのだろう。 円堂の言葉を聞いたさんは顔を真っ赤にして走っていた足を止めた。 走りつかれてじゃない、確実に羞恥で顔を赤くしてる。 円堂が止まったに追いつき、その肩にそっと手を置いた。 とんでもない急展開になってきたな・・・。 ふと周りを見渡せばさっきまで呆れた表情をして我関せずだったみんなが興味津々で二人を見ていた。 ・・・現金な奴らだ。ものすごく面白そうにしてる。 さらに、さっきまで部活の準備で働いてたマネージャー達もいつの間にか円堂達を見てる。 サッカー部一同が見守る中、円堂は口を開いた。









が今サッカー好きじゃなくても、一緒にやれば絶対好きなる。 おれが好きなものをにも好きになってもらいたい。 それでと一緒にサッカーやれたら嬉しいし、何よりおれはに側にいてもらいたい。 がいたらどんなボールも止められると思うんだ・・・・・・って、あ、あれ??」

「・・・」









円堂はいつものように大きな声で聞いてるこっちが恥ずかしくなるようなことを言ってのけた。 さすがだな、円堂。見事に真っ赤になって固まっているさんをおれ達は固唾を呑んで見守る。 さて、どう反応をするんだろう。円堂が顔の赤いを不思議そうに見て、目の前で手を振る。 そこでハッとなったさんは赤い顔をさらに赤くさせた。









「なっななななに言ってるのよ円堂くん!!そ、そそ、それっ、それまるで・・・っ!」

「?なんだ?」

「こここ、こ、こくっ、告白みた、い・・・じゃん!」

「へ?・・・こ、告白ぅ!?」









やっぱり自覚なしか円堂・・・! 見守る側は思いっきりずっこけた。 マネージャー組は妙に目をキラキラさせて「青春ね!」「青春ですね!」みたいなことを口々に言ってきゃっきゃっと騒いでる。 半田と染岡が「円堂のあれは本当に天然なのか・・・?」「見りゃわかるだろ、あいつはド天然だ」と真面目な顔で話す。 そうだな、確かにド天然だ。 円堂は自分が言った言葉が告白の意味ととられるとは思っていなかったので固まってしまった。 だが、みるみるうちに円堂の顔が赤くなっていく。パクパクと開閉を繰り返すだけで言葉を発しない口。 円堂とはお互い顔を真っ赤にして口をパクパクしながら向かい合っているさまはなんとも面白い光景だ。









「風丸、今日の部活はどうするんだ?」

「円堂があれじゃ、とてもじゃないができそうにないな」

「そうだな・・・の返事にもよるな。」









豪炎寺の言葉におれは頷いた。 もしが円堂に「私も好き」と言ったら、円堂は喜びすぎてボールを顔面で受けそうだ。 逆にもしが円堂に「無理」的なことを言ったら、円堂は凹みすぎてボールを顔面で受けるだろう。









「あ、や、その・・・えっと・・・、お、おれのこと、好きだ!」

「えぇ!?」

「好きだ!!」

「わっわわわ、わかったから!!そんな大きな声で言わないでよ恥ずかしい!」









今度はちゃんとした告白をする円堂にの顔はこれ以上赤くなれないってほど赤くなっていた。 さぁはなんて答えるんだ?とは言ってもその顔の赤さからしたら、答えはきっとひとつしかないと思うけどな。












「私・・・も、円堂くんが好き!!」























やっぱり今日の部活はお休みにいたします。



















良かったな、円堂。
サッカーバカなあいつに彼女ができて羨ましいやら憎いやら嬉しいやら、けど拍手が止まらないってことはやっぱり嬉しいんだなおれ。