空は青い。 高くて広くて、どこまでも青い。 今日は雲ひとつなく晴れてるのでその青さが一際目立つ。





「鉄平くん、お腹すいたねぇ」

「そりゃあおにぎり1個じゃお腹すくだろ。だから俺の少しいるかって聞いたじゃないか」

「ダイエットしてるんだよ私・・・」

「・・・する必要あるか?」

「あるから言ってるんだよー!」





騒がしい昼の屋上の端の方・・・ちょうどいい日陰ができているところに二人並んで寝転ぶ。 のお昼ご飯はおにぎり1個だけで、いつもならちゃんとしたお弁当になのに、変だなとは思っていた。 まさかダイエットしているとは・・・昨日までは普通だったのにな。 ごろんと横向きに・・・の方に身体を向ける。 眉間に皺を寄せてうーんうーんと唸りながらお腹を押さえてるに無理矢理にでもおかずをおにぎりにさせばよかったかなって思う。 ・・・あ、そういえば黒飴もってた気がするぞ。 から黒飴をもらったあの日から、黒飴は俺のお気に入りの飴だ。 ポケットに手を入れてあさると2、3個指にあたった。 それをつまんで唸ってるのお腹に落とす。





「黒飴やるよ」

「!!わあっありがとう!」





は身体を起こして嬉しそうに黒飴を口に放り込む。 むぐむぐと口を動かしてから「これすごくおいしい!」と満面の笑みで言った。 ・・・俺はその笑顔がうまいけどな、なんて心の中でぼやく。 とは高校も同じになった。 これで小中高全部と一緒で・・・なんとクラスまでも全部一緒。 なんていうかここまでくると、運命だなぁとか思ってしまう。 そして俺の気持ちも、ずっと変わらずここまできた。 離れてしまったと思っていた距離も今は感じない・・・というのも、今度は俺が距離を離さなかっただけだ。 がおいしそうに黒飴をなめている姿を見つめる。 髪の毛は相変わらず伸ばしたままだ。 何か理由があって伸ばしているのかと聞いたら「願掛けー何を願ってるかは内緒ー」と言われてしまったのでもう聞けない。 俺達の間に風が吹きふわりと長い髪が揺れる。 黒飴とは別に甘い香りがした。 ・・・なつかしいな、この感じ。 ふっと頬を緩めるとが寝転んだ。 仰向けじゃなく・・・こちらに身体を向けるので目が合う。





「鉄平くんよく黒飴持ってるよね?好きなの?」

「・・・ああ」





にもらったはじめてものだしな、と心の中で追加する。 きっとは覚えてないんだろうけど・・・、ずっと目を合わせているのがなんだか気恥ずかしくなってきて身体を起こす。 時間的にもそろそろ昼休みも終わりだからちょうどいいだろう。 不意にズボンに手が触れたので思い出したようにポケットから黒飴を取り出して高く上に投げて自分の口にいれた。 隣から小さな拍手。





「おおっすごい!はいった!」

「もご・・・この前、練習したんだ」

「へぇ!私も今度挑戦してみようかな・・・あっ、そうそう!この前のバスケの試合見に行ったよー」

「えっ」





突然の話題展開と内容に俺が振り向いた、と同時に鳴る昼休み終了の鐘の音。 ハッとなった顔のが慌てて立ち上がる。





「大変だ!早くしないと授業遅れちゃうや!」

「あ、ああ!」





急ごう急ごうと言って俺の腕を引っ張って屋上の扉へと早足に向かう。 気付けば屋上にいた生徒は俺達だけみたいだった。 ・・・これは確かに急がないとかぁ・・・。 でもせっかく二人だけの屋上になったというのに少しだけ残念な気分だ。 もっと早く気がついていれば・・・ いやいやまあそれはいい、もうしょうがない・・・しかしその前に、先ほどが言っていたことが気になる。 バスケの試合を見に来てくれていた・・・見に行くなんて一言も言われてなかったからだいぶ驚いた。 その・・・どうだったのだろうか・・・とても感想が気になるぞ・・・。 今回の観戦をきっかけにバスケに興味をもって好きになってくれたら嬉しいな。 自分の好きなものをと共有できたらとても幸せだ。 あ、マネージャーとかやってんくんねぇかなあ・・・きっとがベンチにいたらできないことなんてなくなりそうだ。 ・・・あ、でも、他の奴らにちょっかいかけられたりしたら嫌かも・・・ううん、複雑だな・・・・。 いや、だから、その前に、見に来て・・・俺にたいしての感想とか、あったり、しないのだろうか・・・。 ちょっとでもかっこいいと思われていたらいいなぁなんて考えてたら、教室まであっという間だった。





「?」

「あのね、」





教室の扉に手をかけて開けるかと思いきや、がこちらを振り返る。 腕は掴まれたまま・・・掴まれている部分は妙に熱く感じる。 ほんのり、の頬が赤い。 どうしたんだろう?もうすぐ先生来るぞ? 心配の言葉と促しをしようと俺が口を開こうとしたら、が先に口を開いた。





「バスケの試合ね、鉄平くんが・・・一番かっこよくて、鉄平くんのことずっと見ちゃってた」





出てきた言葉に、俺は完全に固まる。 ・・・こんなことを言ったら他のみんなに殴られるかもしれないが・・・、今物凄く心底バスケをやっていてよかったと思った。












の一言一言が俺の世界を動かすよ。

高2の今