「好きだ」

「え、じょーだんきついよ元希」

「・・・」






高1の夏、小学校からずっと一緒でずっと片思いしてた幼馴染に告った。 特別可愛いわけでもないが、俺にしてみたら結構可愛い奴で。 いつから好きなのかって聞かれても、いつだか思い出せない。 いつの間にか、好きになってた。 俺が辛くて苦しい時も、どんなに俺がひどいことしたって悪態つきながらも傍にいてくれた。 そんな存在のに惚れない方がおかしい。 まぁ、話は戻るが高1のときに告ったのだが、 その時の返事が 『は?暑さで頭やられた?』 だった。 俺が勇気を出して言った言葉を焦りもせずさらには照れもせず平然と、切りやがった。ばっさりと。 こんのやろー・・・と拳が震えたのも、少し視界が歪んだのも今でもよく覚えてる。 その後、俺はと気まずくなるかと思いきや、普通には俺に接してくるので気まずいなんてものはなく、 俺としては余計諦めきれなくなった。 そんなに振られて一年経った、 高2の夏。 俺はまた、に告白をした。 そして、文頭に戻る。



「なに、なんかあったわけ?」

「なんかあったってお前・・・」

「あ、今日も暑いもんね」

「・・・」



「また頭やられちゃったんだ・・・可哀想に」と俺の頭をぽんぽんと叩いてきて、 なんだか無性に恥ずかしくなってきた。なんだ、この子供扱いは! 俺はの手は払って肩を強く掴む。


「元希?」

「よく聞けよ!」

「聞いてるけど、なに?」

「俺は、お前が好きなんだ!」

「へぇ」

「へぇってお前・・・」




肩を掴んでいた手をはつねりながらはがす(いってぇ!) つねられた手の甲を摩りながらを睨めば、そ知らぬ顔であくびをしてやがった。 さすがに、これは結構へこむ。



「あ、そうだ」

「あぁ?」

「今日あたしがほしいCDが出るんだった。てことで、帰るね」

「はぁ!?」



表情が変わったと思ったらこれかよ!!驚きで予想以上に大きな声が出た。 すると「まだなんかあるの?」だなんて言ってくる。 俺が告白したって言うのに、なんでこいつはこんなにも平然としてんだよ! そう思うと思いっきり眉間にしわが寄っていくのを感じた。 それを見たは呆れ気味にもう一度、「なに?」と言う。



「・・・」

「黙ってちゃわかんないんだけど。」

「・・・どうすりゃ、その、」

「その?」

「お前は俺の女になってくれんだよ。どうしたら、付き合えんだ?」

「・・・さぁ?」



のフッと笑うと「これでもう用事は全部すんだよね?じゃ、帰るわ」て言って 、俺に背を向けて歩き出した。 その行動に俺は慌ててを呼び止める。



「あ、おい!!?」

「なにー?」

「帰る前にさっきの質問にちゃんと答えろよ!」

「はぁ・・・あんたってホントばーか。あたしと付き合いたいんだったら、もっと男を磨いてからにしてよね」




やっと振り向いたと思ったら、ニッと笑って俺にそう言うと、はまた前を向いて歩きだした。 俺はその後ろ姿を呆然と見ながら、立ち尽くす。 が見えなくなったところで、はぁ、と大きなため息が漏れてきた。



「ったく・・・これ以上どう磨けっていうんだよ。」




誰に言うわけでもなく呟いた言葉に返してくれる奴はいるわけもなく風に流されていく。 気持ちい風が俺の横を通り過ぎて行って、 次に俺の口から漏れたのは、諦めなんかじゃなく、







「けど、ま、

お前がそう望むのなら、
俺はどんなことでも叶えてみせるぜ






への宣戦布告。
(次また告白するときは・・・一年後の夏、だな)