今の時間はもう6限目で、眠りのピークを達していた。 しかも授業は先生が風邪のため休み。 そのため目の前にあるのは数学の課題プリントだけ。 臨時の先生は授業が終わるころに課題プリントを回収しにくると言ってどこかへ行ってしまった。 回収されるとなると真面目にやらなきゃいけないとは思うけど・・・、どうも眠くて眠くて頭が働かない。 巣山の方を見てみると、どうやらあいつも俺と同じみたく頭をこくこくさせながらプリントをしていた。 あー・・・どうせなら回収しないプリントならよかったのに・・・。寝れるから・・・。 ボーっとしてきた頭を少しだけ振って、プリントに専念する。・・・






















「栄口くん!」

「ッ!」




隣から大好きな声が聞こえ、ハッとして机に突っ伏していた体を起こす。 あぁ、やばい。プリントやろうとしてたのに寝ちゃったのか・・・。 時計を見れば終了の鐘がなる10分前。 目の前には真っ白なプリント。 はぁ、とため息をついて起こしてくれた人物の方を向く。




「・・・ん、なに?」

「栄口くんプリント終わった?」




にこ、と笑って俺にそう聞いてきたは少し意地悪だと思う。 寝てたの知ってたくせに・・・。 俺は真っ白な自分のプリントをに見せると、は「ありゃりゃ」と苦笑した。




「一問も解かないで寝ちゃったんだ」

「本当は終わらせてから寝るつもりだったんだけどね・・・」




俺も苦笑をもらしながら、残り10分弱という時間でプリントを終わらせようと頑張る。 すると横からプリントが差し出されて、きょとんとしてたらが「私のプリント写していいよ」と 首を傾げながら言うもんだからドキッとした。




「栄口くん?」

「!あ、うん、ありがと!助かるよ」




彼女からプリントを受け取るとすぐさま回答を写していく。 の字は綺麗だからすごく写しやすくてとても助かる。 あと少しで写し終わるというところで、腕をつつかれた。




「・・・どうかした?」

「あのさ、その・・・」

「?」

「私ね、ずっと栄口くんに言いたいことあって・・・」

「うん」




急にもじもじとしだしたにもう一度「どうかした?」と聞けば、「あー」だの「うー」だの唸って一向に話す気配がない。 本当にどうしたんだろう?




?」

「あー、うん!もう、うん!覚悟決めます!」

「え、あ、うん」

「ムードとかもなにもないけど、私ね、」

「う、うん」

「栄口くんが好きです!」














夢ならまだ覚めないで









え、え、え? 俺にだけ聞こえたの言葉に一瞬固まる。 こ、れはまだ夢の中ですか・・・? のプリントとを交互に見やって驚きを隠せないでいる俺に 「あ、その、いきなりすぎたよね・・・なんかごめんね?」のの困った顔と声で一気に頭が覚醒した。 どんどん顔とかが熱くなってきて、頭がショートしそうだ。 それでも、自分の気持ちを早くに知ってもらいたくて慌てて口を開いて出た言葉が「俺ものこと好きだ!」だった。 しかし、その言葉は以外に大きく響いてしまって、驚いて目を見開いてると、クラス全員が一斉にこっちを向いたのがわかる(あ。) そうだった。まだ、授業中だった・・・。 顔を真っ赤にして俺を見ると、顔を真っ赤にしてるだろう俺を見るクラスメートの視線が地味に痛い。 そして授業終了のチャイムとともに、クラス中に祝福の声があがったのも言うまでもない。 さらに放課後は巣山が野球部の奴らにそれを言ったので、ひやかされたのも言うまでもない。 (田島と水谷にはのことを事細かに聞かれたがなんとか流した。・・・大切なにちょっかいを出されたら困るから、ね)