「はぁ…三橋くんなかしたい…」 と、私の呟きとともに頭に強い衝撃。 スパァンと非常にいい音もした。 「なっに…言ってんだよ、お前はっ!!」 ああ…隆也か。 …。 「今叩いたでしょ。慰謝料払ってください。」 「ふざけんな。」 スパァン。二回目のいい音。きっと良いものが私の頭の中に詰まってるからだろう。 でもさ、教科書丸めて私の頭を叩くなよ。 教科書が可哀想なことになってんじゃん。 「…お前、自分の教科書よく見てみろ」 「…きれいで「それ俺のだろ!」ちっ。花井の坊主め」 「どんな悪口だよ!」 「…」 「あっちょっおまっ」 花井を軽くからかっていたら、私の机から隆也が教科書を取り出す。 慌て奪い返そうとしたら、睨まれた。(でたっ隆也の睨む!!こわっ) 黙った私を花井が心配して頭を撫でてくれた(お母さん…!!) 隆也は私の机から奪い取った教科書をペラペラと読み、あるページを私に突きつけ眉をよせる。 「な、なに」 「なにじゃねぇだろ、これ。俺のことどうこういうよりまず自分を見直せ。教科書どころか三橋も可哀想って気付け」 その開かれたページは、ちょうど歴史の教科書で歴史上の人物の顔には私が暇で描いた落書き。 と、三橋くんへの愛を綴るポエム(きゃっ) 「うわ…」 「ちょっと!うわって何よ!うわって!」 「いや、これは…うん、阿部の言うとおり三橋が可哀想だ…」 「なにおぅ!?」 「ほらな」 …なんだよなんだよちくしょうめ。 別に私は乙女らしい行動してただけじゃんか。 「これのどこが乙女なんだ」 「心を読むな。プライバシーの侵害だ」 「いい加減全部口に出てるって気づけ馬鹿」 どうやら私の口は柔らかいようだ。 とりあえず、私の三橋くんへの愛が詰まっている教科書を隆也からひったくり机の中へ戻す。 花井が何やら可哀想な目で私を見てきているが気にしないからな。 ふんっと鼻を鳴らして、携帯を開く。 そこに広がるのはもちろん三橋くんなわけで… 「ってそれなんだ!」 「なに花井。勝手に人の携帯覗かないでよ」 「あ、わりぃじゃなくて!それなんだ!」 「…三橋くん」 「そうじゃねぇだろ…お前はなんで三橋のユニフォーム着替えてる姿の写真を持ってるんだ?」 「…隆也ほしいの?」 「いらねぇよ!殴るぞ!?」 「いたっ!!今殴ったなてめえ!」 隆也は鉄拳を振り下ろしてきました。暴力はいけないと思う。ダメ、絶対。 そして私は隆也と花井に何故三橋くんの写真を持っているのかとひどく問い詰められた。 「いや、そんな……言えませんよ企業秘密ですふふっ」 …そんなこと言ったら隆也に殴られた。ちくしょう。 「お前なぁ盗撮は犯罪だぜ?」 「存在が犯罪な隆也に言われたくない」 「……頼むからこれ以上阿部を怒らせるなよ。ほら見ろ拳が震えてる」 「もうあんたはどっちの味方なの!!」 「この状況下での味方になるというのは無理かと」 「こんの坊主犯罪者め!」 「いや意味わかんねぇよ」 「ていうかね、三橋くんのが犯罪者よ。私の心を盗んでいったんだから…きゃっ!」 「俺は今猛烈に三橋が可哀想だと思った。」 「…なんだっていうのさ二人とも…いい、生きるものすべて… みな、愛の犯罪者なんだからね!」 そう言ってバチコン☆と星を飛ばす勢いでウインクをした私。 固まった二人にやっと理解してくれたんだなと思って安心しました。 にこっと笑いかければ、花井はさっきとは比べ物にならないくらい可哀想な目で私を見てくる。 隆也は顔を俯けてた。 が、次の瞬間顔を思いっきりあげてきた。 顔が般若だ…やっべ。 「っそれはお前だけだ馬鹿!!」 「った!だっからてめえ隆也いちいち殴んじゃねぇよ!」 「うわっ!お前ら暴れんじゃねぇよ!」 おわれ。