ー!!」






廊下から、でっかい声がした。 クラスメイトがイスに座る私のことを一斉に見てくる。 ・・・はい、確かに私はですけどもね。






ー!!」






はいはいはい、わかった。バリバリ聞こえとるっちゅうに。 未だ廊下から聞こえてくるバカでかい声にため息が出る。 このまま彼がこちらにたどり着くまで名前を呼ばれ続けるのは苦痛なので、私は席を立った。 ひょこりと、廊下に顔を出す。・・・あ、見つけた。パタパタと走ってくる、かわええかわええ我が後輩。






「あー!!やー!!」

「はいはい、ですよ」






教室から飛び出てる私の顔に気づいた、金太郎は走るスピードをさらにあげた。 そして私のクラスまできたらピタッと静止。 それからくるっと私の方に体を向けた。






!」

「はいはい、そうですよー」

「辞書貸してくれへん!?」

「はいはい」






両手を差し出して、首を傾げて言う姿はなんて可愛らしいのだろう。 ちょっとめんどくさいが自分の席まで戻り、金太郎が求めている辞書を手に取る。 のそのそとのろい動作で金太郎の元に行く。






「金太郎、ほれ」

「おー!!助かったわー!ホンマありがとう!」

「ん、ドウイタシマシテ」

「あ、これ返すん放課後でもええ?」

「ええよ。ちゅうか早よ教室戻り。鐘鳴るで」

「えっ!ホンマに!?ぎゃーホンマやー!!ワ、ワイ教室戻る!!」

「んー気ぃつけえよー人にぶつかるんやないでー」

「おー!!」






ドタバタと可愛え後輩は走り去っていった。軽く砂埃が舞う。 まったくおっそろしい脚力やな。今度なんかそりでも引いてもらおか。 そう思いつつ私も鐘が鳴る前に教室に戻る。 にしても私は、本当にあの後輩には甘いみたいや。

実はあの辞書、次の授業には必須のものだった。 せやけど、あの子が怒られるんは嫌やからなぁ。 というわけで、私は次の授業怒られてきます。


















これが私の日課です。
(おかげで忘れん坊将軍と先生に呼ばれてます)