よしよし、あと少しやな。 パンッパンッと洗濯物を綺麗に皺なく伸ばして、干していく。 さすがに、部員全部はきついわー。 額に浮かぶ汗を腕で拭って、また一枚、皺を伸ばして干す。 今日はええ天気ーなんで汚いユニフォーム洗うにはええ日やー。 ふんふん、鼻歌を歌いながら手を休みなく動かした。 よっしゃ、もうちょいやね。 洗濯物の山が減ってくさまええもんやね、努力の賜物っちゅうもんや。







ー!」







残りざっと3、4枚ってとこで、後ろから元気な声があたしを呼んだ。 振り向かずとも、わかる。 部内で一番かわええ後輩の金ちゃんや。 弟にしたいランキングナンバーワンの子。 なんて、思っとったら背中にすさまじい衝撃が走った。 「うおっ・・・!」と、なんとも女の子らしくない声があたしの口から漏れる。 前に倒れそうになるも、なんとか踏ん張って地面とチューは免れた。 さすがあたしの足や。ええ仕事しとる。 まぁとりあえず転ばんでよかったと安堵のため息をついて、後ろを振り向く。







「金ちゃん、危ないやろ」

「えへへー」

「えへへーやないでしょ」







注意しとんのに、ぎゅーとあたしのお腹に回す腕に力を込めながら、頭を背中に押し付けてきた。 なんやこのかわええ生き物は。いや、しかし、これは・・・痛い痛い痛いっちゅうねん!ハンパない締め付け! お腹の中からなんか出そうになり、慌てて金ちゃんの腕を叩く。 このままじゃお姉ちゃん吐いちゃうでー。







「ほれ、放してえな」

「んーいやや!」

「いやや、やないですからね。放さんと、あたしの臓器当てんで」

「!!」







あたしがそう言うやいなや即体も放した金ちゃん。ええ子や。 金ちゃんの頭をひと撫でして、中断しとった洗濯物を干す作業に戻る。 すると、またお腹にまわる腕。ちらりと後ろを振り向けば、笑顔。 ・・・なんやなんや、今日は甘えたな日なんか?







「どないしたん?今日はえらい甘えたやんけ」

「んー、なんでやろ!ワイにもわからん!けど、なんやしたくなったんや!!」







金ちゃんはにっこにこしながらその言葉を言って、放してくれる気配が無い。 ちょっと邪魔だなーと思いつつ、それを振り払えないあたし。 しょうがないので、金ちゃんを引っ付けたまま作業開始。 最後の1枚まで丁寧に皺を伸ばして干せば、気持ちのいいもんだ。















あまえたむし
がコートに居らんと寂しいんや)
(・・・なんやこのきゅん死に生物は)
(きゅ、きゅんしに生物?ってなんや・・・?)
(こっちの話や。金ちゃんはほんま弟になってほしいなぁ)
(ワイもみたいな姉ちゃんほしい!)
(・・・せやからきゅん死にしてまうわ・・・)
(??)