「あああああ!!」
「うっさ!」
「誰がじゃ!」
「お前や!」
「あああああ!!」
「せやからうるさいっちゅうねん!!」
から突然電話がきて何かと思えば「家いれろ!!」と一言いわれ一方的に切られ、その数分後俺の家にやってきた。
そして現在、ムキャー!!と人語なのかそうじゃないのか、わけのわからない雄たけびをあげながら
は俺のベットでひたすらごろごろしてる。めっちゃうるさくてかなわん。誰か助けてくれ。
「あっうおおおおお!!む・・・・きぃぃぃいい!!!」
「あー!本間にやかましいやっちゃなお前は・・・!!」
「うっ・・・・うっうっうっ!!」
「な・・・今度はなんやねん・・・」
俺の枕に顔をうずめ肩を振るわせ始めた。
もう何なんこいつ。わけからんわ。
少し距離を置いてを見るが、やはりの行動の意図はまったく読めてこない。
しゃあない、俺はいつまでもこうしてるわけにはいかないのでに占領されているベットに近づく。
もちろん軽く距離をおいて、だ。そうやないとなんか怖いやんけ。
「お、おーい。ー?」
「なんじゃい謙也のクズボケカスー」
「ボロクソやなおんどりゃ!ったく、さっきから何なん?今日はえらい荒れとんな」
「うー・・・・・」
「ん?俺には言いにくいことなん?」
「・・・笑わない?」
「そんなん内容によるやろ」
「笑うなよ」
「命令かい」
枕からのぞいた顔はそらもうかわええなんてもんやない、おっそろしい鬼や。鬼!
仮にも女やで?こいつ女。なんちゅう顔すんねん。
てかてか、この場面は普通、可愛らしく潤んだ瞳で俺を見るとかやないの?
なんやこの甘いどころか寒気のする空間は!
自分のロマン溢れる想像に涙しながら、に「笑いません」とはっきり言って、喋りだすのを待った。
すると、何秒も経たんうちにが口を開く。
「家の鍵を下水道ん中落としてもうた・・・」
ポツリ。
俺に聞かせるつもりないんかと思うくらいのちっさな声ではそう言った。
数秒、固まる。
俺達の間に微妙な「・・・」が繰り広げられる。
・・・。・・・・。・・・・・。・・・・・、
「・・・っうがあああああ!!笑いたいなら笑えばええやんボケ!!!」
「なっ!お、お前が笑うな言うから笑ってないんやろ!!」
「こんな微妙な空気になるんやったら大声で笑ってもらった方がマシじゃー!!」
突如、微妙な空気に耐え切れなくなったがまたもや切れた。
本間に何なんこの子。俺にどないせぇ言うんや。
なんや、のお望み通り笑えばええんか?
・・・よし、
「ははは!」
「笑うんやないぞこのヘタレエエエ!!」
「いったああああ!!え、えええ!?おまっさっきと言うてることちゃうやんけ!!」
の理不尽な怒りが拳となって俺の頬に直撃。
とてつもない痛み。頬を押さえながらに抗議したが、
「さっきはさっき!今は今!」・・・なんちゅー理不尽!
「あーもう!どないしたらええんや!今日親帰ってくんの遅いねん!12時過ぎやて!
しゃあないから今日は謙也の家でご飯やね!」
「何がしゃあないん!?いい言うた覚えないで、俺!」
「私とあんたの仲やろ!?むしろお隣さんの仲やろ!?助けてぇな!!」
「そんなん知らんがな!」
「冷たい鬼鬼畜理不尽!」
それ全部自分に言っとる言葉やよな・・・!?
の言うてることはすべてに該当するからな!
って、思っとるだけで口には出せん。
そんな・・・なぁ、言うたら俺、多分痣だらけになる、し。
冷や汗が流れるのを感じながら、引きつった笑みを浮かべる。
は枕を抱き締め、はぁぁと長いため息をついた。
俺の方がため息つきたいわ・・・。
「今日はサイフも家ん中に置きっぱやし、唯一ポケットに入ってるお金言うたら一円やで、一円!
そんなんで何が買えるん?チロルさえ買えへんのやぞ一円って」
「本間に一円しか入っとらんのか?よう見てみ。もしかしたら百円が入っとるかもしれへん」
はかなり抜けとるからな。
前に眼鏡無くしたあああ言うて俺の部屋来たときなんて、自分の頭に眼鏡差しとったからな。
何が無くしたや、で大爆笑。で、フルボッコ。・・・あぁ嫌な記憶や。
軽く涙が滲みそうになったが、なんとか耐える。
ポケットを漁るを黙って見とったら、が首を傾げた。
つられて俺も首を傾げる。
百円あったんかな?
「お、これ鍵やん」
「ほー鍵があったんか。・・・・・鍵!?」
のポケットから出てきたんは、一円玉でも百円玉でもない、鍵。
さっき喚きながら落とした言うとった、鍵。
ちょっ、えっ?
も不思議そうに鍵を見つめていたが、ポンと自分の手のひらを叩いて、一言。
「下水道に落としたの鍵やのうて一円玉やったんやな」
はいはい、
こういうオチですか。
「ちょっ、なんで最初っからポケット見いひんかったんや!」
「えーだってあの音は完全に鍵の音やってん、しゃあないやん」
「しゃあなくないわ!」
「ちょっうっさいで謙也」
「おっ、お前・・・!」
理不尽を改めて知った。