俺、病気なんかな・・・。
前まで、小春とテニスしか頭になかったんやけど、最近・・・
ある奴が俺の頭ん中を混乱させる。
。
同じクラスで隣の席。
ボケッとした雰囲気が特徴な女や。
大阪にしては珍しい温和タイプ。
あんま話とかはせえへんけど、目がな、あいつの方を向いてまうんや。
そんなん俺らしくないのはわかっとんのやけど・・・気付いたらやっぱアイツんこと考えとって、つい見つめてしまう。
そのたび目合って、俺は即から視線を逸らす。そらもう全速で。
ほんまに・・・俺どないしたん?
ほんまにどないしたんやろ。
隣の席から何かと視線を感じる。
一氏ユウジくん。
その子が私の隣の子や。
テニス部でおもろくてホモな子・・・やったっけな。私あんまテニス部興味ないから知らんねん。
やけど、テニス部いうたらめっちゃモテモテの集団や。えと、別名イケメン集団!
と言うても私には関係あらへんけど
んとーまぁ、そんな人気もんの一氏くんからよう視線感じんねん
なんでなんかな?もしかして私どっか変なんかな・・・?
髪型?顔?・・・いや顔はもう変えようないわ。ちゅうかイケメンと比べたら、なぁ?
んー・・・ほんまに何が変なんやろ・・・思いつかんわー・・・
今日もはボケーッとしとる。
俺が見とる限りずーっとボケーッとして、たまに視線が合うて俺が逸らして、また見るとボケーッと・・・って俺どんだけ見とんねん!
ストーカーかって・・・んなわけあるかい!そ、そんなそれっ俺がのこと・・・す、好きみたい、やないか!!
いやいやいやほんまありえへん!!ボケェ!!
俺は小春一筋なんや!せ、せやからっそ、そんな・・・なぁ!?
およ?
なんや隣から、唸り声が聞こえる。
ちらりと横目で見てみれば机に突っ伏して頭抱えとる一氏くん。
何やらブツブツ言っとんのが聞こえて・・・金色くんとのネタでも考えとんのかな?
はは、今日も一氏くんはおもろいなー。
あーあーあー!!!
あっかん!!これあかんー!!
朝から机に突っ伏し放しの俺。
あ、頭ん中のことばっかで授業まったく聞けへんかった・・・!
ちょ、俺別に頭ええわけやないから授業聞かなやっていけへんのになにやっとんねん!
っちゅうかもう放課後!?はぁ!?
俺飯食ってたんか!?
バッと慌てて自分のバックを覗き込めば、中身がすっからかんで軽くなった弁当があった。
よ、良かった・・・ちゃんと食ってたんやな・・・って、食ってたことすら記憶ないとか重症すぎて笑えへんわ!
どないした俺!俺の身に何がおき、「一氏くん?やっと起きたんやなー今日ずっと伏せとったから心配したでー?」
・・・ッ!?
あれ?顔あげたから起きたと思って声かけたんやけど、また机に突っ伏してしもうた。
なんでやろ?
あぁ、やっぱ気分悪いんかな?
あ、それともお腹が減って力出ぇへんのや〜的な?
・・・困ったわ・・・それやったら私食べ物なんて持ってへんから何の力にもなってあげられへん。
ごめんな、一氏くん。
って、あかん!一氏くんには元気になってもらって日誌の名前書いてもらわな私帰られへんわ!
ええっと、食べ物食べ物食べ物・・・なんかないんか自分!
ガサゴソと自分のカバンを漁る。・・・あかん、プリントのゴミしかない・・・
次にポケット。
・・・あ、あったー!!
あああああなにしとんねん俺!ほんまに何なん俺!
顔上げたとき、何故か隣にはまだが居って笑いながら俺に話しかけてきた。
それにビビッた俺はまたすぐに机に突っ伏す。ほほほほんまなにしとんねん!
部活行かなあかんしっ小春に会ってネタ合わせもせんとあかんのに・・・!
あわわと頭抱えながら悩んでいるとがいる場所からガサゴソと何かを探す音がした。
?なに、しとるんや?
ちょっと気になった俺は微かに頭を上げ、の方を横目で見る。
そしたらもちょうどこっちを向き(!!)ばっちり目が合ってしまった。あ、あわわわわ
よかったー食べ物見つかってー。
まぁこれ友達から貰ったもんなんやけど、別にええよね?
一氏くんの生命に関わっとるわけやし・・・あぁそれは大袈裟かな?
とにかくこれあげて元気だしてもらおと一氏くんを見たら、一氏くんもこっち見てたみたいで目が合った。
お、ナイスタイミングや!
私はゆるゆるの顔で一氏くんに手を突き出す。
するとビクリと一氏くんは肩を揺らしてから、おずおずといった感じで手を出した。
そんな一氏くんが可愛くて笑いながらその手のひらの上にぽとりと、一個のミルキーを落とす。
「はい!これ食べて元気出してな!そんで日誌に名前書いてくれへん?」
にっこりと、の笑顔を直視してしまった俺は、だんだん体温が上昇していくのを感じた。
ちょ、これ新たなウイルスとかそんなんなんか!?
手のひらに落とされたのはミルキーで、の温もりがまだ残っとる。
う、めっちゃ恥ずかしいんやけど・・・なんで!?
いやっその前に・・・日誌・・・?日誌に俺の名前書くってどういうことや?
・・・もしかして、俺・・・日直?
ゆっくりとした動作で黒板を見る。
そしたらそこには、日直と書かれた下に俺との名前があった。
・・・・・・何やっとんのや俺ェェェェェ!!!
ぶわっと汗が一気に吹き出てくる。嫌な汗!
ほんまどないしよう・・・と、とりあえず日誌に名前・・・!
急いでぺっちゃんこの筆箱からシャーペンを出して、の隣に名前を書いた。
その際見たの字は結構可愛くてキュンとなった・・・ってなにがキュンじゃボケェェェェ!!
とにかくに「すまん、日直の仕事何もせんと・・・せ、せめて日誌は俺が先生に渡してくるわ」と言ってバックを肩にかける。
けど、が
「え、別にええよ気にせんでも。あ、日誌は私が行くでーやって一氏くん部活やろ?そっち早よ行った方がええよ」
と言い日誌を持ち
「ほなまた明日ー部活頑張ってなー」
俺に手を振りながら教室を出て行った。
・・・、やばい、なんやこれ。
今度こそ俺は死ぬんじゃないかってくらい心臓をドキドキさせ、動いても無いのに体中を熱くさせる。
頭ん中なんて沸騰して、何にも考えられへん。
えっと、・・・あ、部活行かなあかんわ・・・部活・・・。
ボーっとする頭で俺はとぼとぼと部活へ向かった。
でろでろに溶けたミルキー
(甘すぎて吐き気がする、いまの俺)