へ、へっへん!
べ、別にさ!一人になっても平気だもんね!
むしろ一人の方が好き勝手できるじゃん?
なんていうかこの機会に白石のプライベートとか覗けちゃうじゃん?
私まだこっちに来たばっかだし、ちょっと外出てこの辺探索とかもありだしさーうん。
だから白石は私に心配しないで学校行けばいいじゃん!・・・・うん。
そんなことを思ってた昨日の夜。
そして白石が学校へ行く今日の朝・・・・・・やっぱ無理でした。
セブン!
「いやぁぁぁぁぁぁ!!!」
「ちょ、放せぇや!」
「無理ぃぃぃぃだって放したら白石行っちゃうじゃん!私を一人置いて行っちゃうんでしょぉぉ!?」
「そら仕方ないことやんけ」
扉を開けて出て行く寸前の白石の腰に後ろから大胆にも抱きついて必死に引き止める。
ホントはね、別に一人でお留守番とかやりたい放題じゃーん!とか思ってたけどね、やっぱね、一人って寂しいんだって!
こっちの世界来て今まで元気いっぱいにやりたい放題できてたのは白石がいてくれたからであって一人じゃなんも面白くないんだよ!
一応居候させてもらってるから、白石の部屋詮索ーなんて恩知らずなことはできないしさ!やりたいけど!
それでやることとか家事だけだし、一通り家事終わったら白石帰ってくるまでテレビを一人寂しくガン見でしょ!?
んなことやってらっれかあああああ!!!
白石がものすごく困ってるのもわかるけど、わかるけどさ・・・・・・置いていくならせめてギリギリまで私を構ってからにしてくれ!!
「そんな・・・わ、私のことは遊びだったのね!?」
「いやいやいや何の話やそれ」
「浮気者ー!お前なんてさっさとどこへでも行っちゃえー!!」
「ちょ、ご近所さん見とるんやけど!ちょ、さん早よ放してくれへん!?」
「いやー!」
「いやー!やないわ阿呆!」
尚も腰にありったけの力をこめて抱きつく。
昨日教えてもらった学校のことは確か場所は10分もかからないとこらしくて・・・プラス走ったら5分以内にも着いちゃうとのこと。
ちなみに登校の時間までまるまる30分余裕があるとも今さっき言ってた。
なら!!尚更放すわけないでしょうが!
私の断固として動かない姿勢に白石が大きく溜息をついて扉を閉めたと思ったら、私の手を掴みいとも簡単に体を放されてしまった。
そしてゆっくりと振り返る、怖いお顔の白石さん。・・・ワォ!
「あんなー・・・あーんま我侭ばっかり言うとると・・・」
「言う、とると・・・?」
怒り顔から一変、超シャイニングな笑顔で左手を掲げしゅるしゅると包帯を解いていく。
一瞬その行動にきょとんとした私だが、ハッとした。
え、え、こ、これってまさか・・・!!
「俺の左手なぁ、毒手言うて触れた者みーんな溶かしてまうんや・・・、死にたないやろ?せやから大人しく留守番してろ」
ど、毒手きたー!!
ちょ、生毒手!
金ちゃんがいなきゃやってもらえないと思ってたのに・・・!!
ぴたりと喚くのを止め目をかっぴらいて白石(というか毒手)をこれでもかというくらい見る。
こんな機会きっとないから、今のうちに心のフィルムに焼き付けよう・・・!
そうしていると、白石が居心地悪そうに解きかけていた包帯を巻きなおし始めた。
あぁっもうちょっとその白い腕を見ていたかった・・・!
「・・・いくらが馬鹿で阿呆でどうしようもない頭しとってもこれには騙されへんよな・・・」
「・・・っえ!?今のどういうことですか白石さん!!失礼にも程があるんですけど!」
「あ、そろそろ行かんと本間に遅刻してまうわ」
「シカトー!?」
私の言葉は華麗にスルーし、携帯を開いてそう言うと白石は再度扉を開ける。
あー・・・行っちゃうよー・・・。
はあ、溜息をついて肩を落とす私に白石は困ったように笑った。
私のが白石より年上なのになんていう幼稚さをさらけ出してるんだろ・・・一人やだとかちっちゃい子供じゃあるまいし。
学校も大事なのはわかってるし、白石には部活というテニスもあるから絶対に行かなきゃいけないのもわかってる。
それなのに・・・一人は寂しいからってちょっと我侭すぎたな自分。反省!
自分の頬を叩けばパンッといい音が鳴った。うし、聞き分けのいい大人なさん復活!!
いきなりの行動と音に驚いて目を丸くする白石ににかっと笑いかけて背中を押す。
「え、っ?」
「私さ、遅刻とか許せないんだよね!だから、ほいっ学校元気に行ってこーい!」
「なんちゅう切り替えや・・・ったく、ほなら行ってくるで?」
「うん!行ってらっさーい!ってこのやり取り夫婦みたいだね!」
「さいなら」
「ちょ!」
私のたった一言に、さっきまで微笑みを浮かべていた白石は一気に顔を顰め冷たい言葉を吐き捨て即扉を閉めた。
なんて酷い扱いされてんのかな私!
大人なはずのさんもフンッと鼻息荒くなっちゃうよ!
どすどす足音を鳴らしながらリビングへ行き、ソファにどすんと座ってテレビの電源をつけた。
けど、消す。
いっけね、テレビ見る前に皿洗いしなくちゃ!
それから洗濯物してー掃除してー植物っていうか毒草に水やってー・・・
あれ?私ってばなんていう家政婦?
そ、そんなことない、よね?だってピチピチの女子高生だもん!
うんうんそんなことない、と首を振り台所に入る。
さてー家事終わったら・・・なにしてよっかなー
・・・あれ?
あのテーブルに置いてあんのって・・・・・・弁当じゃね?
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