わーここどこー?
テン!
あはは!無謀にも外出てきちゃったよ!
あ、けどちゃんと鍵も閉めたし、服装は私服だからお巡りさんに捕まることはないよ!
だって制服で行ったらまず間違えなく補導されちゃうからね。だって今日平日の火曜日。ちなみに昨日は祝日の月曜日。
そんなこんなでお弁当を片手にとりあえず外にいます。
よーし落ち着いて考えるんだぞ私ー・・・
これはたった一回の間違いでどん底に落ちるパターンだと私は踏んでるからね!
まず白石の言ってたことを思い出せ。
確か学校は10分以内の場所。
それめっちゃくちゃ近いじゃん!と思って朝駄々をこねていたんだ。
ならば!適当に歩いてればつくんじゃね?みたいな!
さらにさらに、白石の家(実は高級マンション)から出るとわかれ道は右か左かのどっちかだ。
ほらそしたら二分の一の確立で学校つくんじゃね?
単純な私の頭はそう答えを出し、右か左かの選択肢を与える。
ふふ・・・これは私の運が試されてるのね・・・!
大丈夫、私ならたった一つの真実を導けるはずだわ・・・。
と、ここで出てくるのはジャジャーンさっき下に落ちてた木の棒〜
こいつに私が行くべき道を導いてもらおう!
右に倒れたら右!左に倒れたら左!まさしく運まかせ!
ルンルン気分で棒を真っ直ぐに立てる。
さぁ・・・導けー!!
「って、そっちはマンション方向なんですけど!!」
パタンと棒が倒れた先は、私。
ちょ、これは暗に私に大人しく帰れと言ってるんですか?
余計なことすんなってか?
なんだかこんな棒に頼った自分が無性に腹立たしくなり棒をへし折った。チクショー信じた私が馬鹿だった。
「えー・・・どうしよ」
うーんと頭を捻った結果、
「よし、左に行こう!ほら、白石の包帯左についてるし!・・・別に関係ないけど」
自分で言って自分で突っ込むってめちゃくちゃ寂しい、な。
ふふ、と嘲笑を浮かべながら左へ進む。
けどさ、このまま歩いて行ってマジで四天宝寺着けたら私ホントにすごいよね。
それで運命的に四天宝寺のキャラに会っちゃったりとかさ!
第一希望はもちろん謙也でー謙也に会ったらとりあえず握手してもらってー
光とどこまでいっちゃってんのかもさりげなく聞いてー白石のとこまで案内してもらってその後も仲良くしてもらってー・・・
やばい、想像したら涎出そうになった。
あーでも金ちゃんや千歳にも会いたいなぁ!
いやいやいやだけどもやっぱ全員に会いたいよね!!
そんで仲良くなっちゃってウッハウハみたいな!
うはーつかテニス部ファンの女子の方々は彼等の写真とか持ってないのかなー・・・あったらほしいなぁ。
謙也と光とかさ、謙也と白石とかさ、謙也と千歳とかさ・・・って謙也ばっかじゃないかーい!!!
・・・はぁ、妄想はとてつもなく楽しいがやっぱ一人ボケツッコミは虚しい、な・・・。
小さな溜息を吐いてひたすら歩く。
歩く。歩く・・・歩、く・・・あるく・・・・ある、く・・・アルク・・・
「ちょっどこまで歩けばいいのー!?」
ひたすら歩き続けて早30分が経過しましたよ!!
なんで時間がわかるかだって?
んなの今私が学校じゃなく公園にたどり着いちゃって、そこにある時計を見たからだよ!
ありえない・・・ありえないでしょこれは!
10分以内でしょ!?さらに言えば学校なんだからでっかいし目立つからすぐ見つかるでしょ!?
なに!?これまさかの選択ミス!?
私の運はやっぱ頼りにならなかったってこと・・・!?
クソォ!よくもやりやがったな私の運め!
足元にあった小石を蹴飛ばし遠くへ飛ばしたのを見届けてから私は来た道を戻る。
・・・・。
さっきとは違う反対側歩いてるよ。
あれ?なのにどうしてかな?
まったく着く気配がないよ?ん?
首を傾げて私は歩きを止めた。
きょろりと周りを見渡して・・・うん、学校らしきものは全く見当たらないね!どうなってんだ!
これさ、むしろさ、運じゃなくて・・・私・・・もしかして方向音痴?
方向音痴のおかげでたどり着けない感じなのかな・・・?
新たな自分の一面を知り、凹む。こんな一面マジいらねええええ!!
「はぁ・・・もうこのままたどり着かず私オワタじゃね?」
「・・・あれ?あのーすんません、」
途方にくれた私の後ろから、声がした。
なに?なんなの?今絶望中なんだよ
自分の方向音痴さに絶望してんだよ。
でも一応声をかけられたからにはちゃんと答えてあげよう。
もしかしたら困ってる人かもしれないし・・・。
ゆったりとした動作で振り返ると、私は思わず口を大きくあけて固まってしまった。
そこにいたのはだるそうに立ちイヤホンを片耳につけて大きなテニスバックを肩にかけた、
・・・ メ シ ア !
「あぁやっぱさんや。何してはるんすかこんなとこで」
「光ぅぅぅ私今絶賛迷子中なの助けてぇぇぇぇ!!」
「は?ちょ、キモ・・・やのうて大丈夫っすか?」
思わず泣きそうになったのは内緒だ。色んな意味で。
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