「ああああああのっと申します!!以後どうぞよろしくお願いしたしまするゥゥゥ!!」

「お、おん・・・よ、よろしく」







頭を大きく下げ、念願の・・・ねーんがーんの謙也にご挨拶!!
顔を上げてよく見れば謙也の顔引きつってるけどそんなこと気にしないもんね!!

















サーティーン!























白石くんと部室で二人きりとかある意味ドッキドキなシチュエーションで現れたのは、 私が大好きで大好きでもう可愛くて可愛くてお馬鹿でお馬鹿でしょうがない謙也!!
この前の光たんとの遭遇といいなんなの!?今私に神が降りてるの!?
・・・そういえばあのクソガキが神だったんだ・・・!じゃあ違う!神じゃなくてこれはきっと・・・そうだ女神だ!!
とりあえず興奮を抑えきれず私は謙也に駆け寄り自己紹介をしといた。第一印象って大事だからね!
それで握手しようと手を伸ばしたんだけど、それは白石によってはたかれた。チィッ!!







「え、えっと・・・白石の従姉の、さん・・・?」

「はい!!あっ全然呼び捨てとかで構わないから!むしろ呼び捨て希望!タメ口希望!」

「そうなん?ほならそうさせてもらうわ。俺のことも謙也でええよ」

「わ、わかった!」







にかっと笑う謙也に胸のときめきが止まらない・・・!
鼻にもすごい衝撃だったので咄嗟に鼻を押さえといた。あっぶな!
それを不思議そうに見る謙也と汚いものを見るような目で見てくる白石。・・・白石しね!
キッと白石を睨めば、フンッというように顔を逸らされた。反抗期すぎるんだけど・・・。







「それにしても・・・なしてしらい・・・やのうて、が部室に居るん?・・・はっもしかして転校とかしてくるんか!?」

「えっち、違うよ!私はただ白石にお弁当を届けに来ただけで・・・!」

「は・・・?弁当?」

「そうだよ!テーブルんとこに置きっぱだったから・・・はい!」







ようやく目的をはたせるぜ・・・!
ずっと手に持っていたものを白石に突き出した。
白石はちょっとだけバツの悪そうな顔をし、「ありがとうな」と小さく呟く。
なによ・・・かわいいとこあんじゃないか!
美形のそんな顔に弱い私は思わずにやける。と、即嫌悪感丸出しの顔された。ひどい!







「なんやめっちゃええ人やな!わざわざ弁当届けに来てくれるとか・・・俺の従兄弟やったらありえへんわ!」

「そんなことないよ!当然のことをしたまでだし・・・!」







っきゃー!!やっだもうやっだもう!!
謙也にめっちゃええ人って・・・!きゃー!これもう恋愛フラグきてんじゃね!?
必死に謙也の言葉を否定しつつも内心狂喜乱舞しながら謙也の姿を眼球に焼き付ける。
だって制服とかあんま漫画で着てなかったからね新鮮でさぁ・・・!
もう上から下まで舐め回すように見ていると、ふと謙也が携帯を開いた。
こ、これってもしかして・・・!


「あ、時間やば!」


・・・時間見ただけかよ・・・メアド交換じゃないのか・・・いや、私の方は携帯消えたからメアド渡せないんだけどさ・・・。
非常にガッカリな展開に思わずガクリと項垂れる。
そうですよね・・・幸せな時間なんてそんな都合よく続くわけないですよね・・・!
ハァと溜息をついてる間に、ジャージを持ち部室の扉の方へ向かう謙也の姿。
さすがスピードスターというだけあって行動も早いですね・・・!







「ほな、俺教室戻るわ!白石も早よせなチャイム鳴るでー・・・あっせや、また今度ゆっくり話そうなー!」

「う、うん!!ま、またね謙也!!」







大きく手を振り部室から出てく謙也に私も大きく手を振り返した。
つか、なんなのアイツ!今のむっちゃくちゃ可愛いんですけどォォォォ!!
謙也の子供みたいなあの手の振り方にお姉さん鼻血出しそ・・・って謙也まだ中学生だから子供じゃん。見えないけど。
ってそうじゃなくて!ああああもうマジ可愛かったああああ!!
もっといっぱい話したかったけどまだ学校あるんだもんね!
それにそれに謙也には好印象な私でいたいから我侭は、ダメ、絶対!
やばい顔の筋肉死滅したかも・・・!にやけまくりでやっばいわー!
生謙也とのスーパー幸せタイムの余韻でうっとりして扉の方をずっと見ていたら、今まで不自然なくらい黙っていた白石がいつもより低い声で私の名前を呼んだ。
ぅお、ビビったけど低い声もまたいい声っすね白石さん!







「でへへなにー?」

「・・・謙也への態度がめっちゃ変やったけどあれ何やったん?」

「えっ変だった!?」

「おん。まるで女の子みたやったで」

「いやいや私女の子ですけど。まるでとか必要ないんですけど。・・・でも、まぁちゃんと女の子らしく見えたならいっか!」

「は?」

「謙也には変な風に思われたくないんだもん!」

「・・・なんで?」

「え?なんでってそりゃ・・・謙也のこと好きだからに決まってんじゃん」

「・・・・・・は?」







眉間に皺を寄せて、それはもう不可解なものを見るかのような目で見てきた白石。
な、なんだよぉ!
不思議と周りの温度もどんどん冷えていく・・・あ、あれ、なんでー?
首を傾げて白石を見やるも、ムスっとした表情で黙ってる。
え、え、私なんか勘に触ること言ったかな・・・?・・・ってそっか!!
謙也のことが好きなライバルが増えてご機嫌ナナメってとこか!!







「いったぁ!!」

「今めっちゃ不快なこと考えたやろ」

「えっなんのこと!?」

「顔見りゃわかんねん・・・ったく、はぁーもうええわ、うん」







え、なにがいいの?人の頭はたいといてその回答はなくね?
まったくもって白石の言ってることが理解できない私は尚も首を傾げるけど白石はシカトらしい。・・・このやろー。
これは文句でも言ってやるかと思い口を開いた途端、聞こえてくるのはチャイムの音。
って、おいいい!!







「あっ早よ戻らな・・・!次オサムちゃんやった!」

「えええええ私もついて行き・・・ってすいません冗談です!!」

「っ次言うたらうめぼしやかんな!それとは俺が授業終わるまでここに居ってな!ええな?」

「はい!」

「ほな、ええ子にしとれよ!」

「はい!」







まるで風のように部室から去って行った白石。
それを見送る私。
白石が帰って来るのは授業が終わったとき。
それまで部室で待機な私。
すとんとイスに腰をかける。



・・・・・・・・・あれ?え、授業終わるまでとか・・・地味に長くね?
その間ただ黙って待っていろっていうの?え、超不可能じゃね?
白石の言ってたことに「はい!」と大きな声で返事しちゃったけど・・・無理だよね?
今冷静になって考えてみたらとんでもなく大変だということに気付いた。
家とかだったらさ、暇潰しできるものとかあったけど・・・今の私ってば何も持ってないよ?
それでただ待機?きつくね?
私この場所で、白石の授業が終わる時間まで待機していられる自信ないんですけど・・・。
苦笑いを浮かべ、盛大に溜息をついた・・・・・・午前10時55分のこと。




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