「―――ぃ、」

「・・・ん」

「――――ら、――――」

「んー・・・」

「起きろ言うとるやろがこの阿呆!!!」

っ!?ふぁい!!・・・ふぉ?」

















フォーティーン!























え?え?え?ここはどこ、私は誰?目の前にいるのは・・・・・・・・・・・・ユウくん?
時計をちらりと見る。11時30分・・・おやおや少しばかり寝てしまったみたいだね。
ぼーっとしながら白石来るまでもうちょい寝るかと思い目を閉じようとしたら何かが風をきる音がして、私の頭に強い衝撃がきた。







「ッッッぃったァァァァ!!」

「俺を無視するとはええ度胸やなぁ、あぁ?」







頭かち割れたんじゃないかと慌てて頭を摩る。
もうっめっちゃ痛いんですけどォォ!白石のチョップが今すごく愛しいうえに可愛く思えてきた!いや、あれはあれで痛いけどね!
相当ひどく歪んでいる顔で私は顔をあげると・・・・・・・・・・・・・・・ユウくん?







「あれ?さっきのもユウくん?あれ、今もユウくん?・・・・・・あらユウくんじゃないか」

「は?お前何言うとんのや。ちゅうか、なして俺の名前知っとんねん。なんや、俺のファンなんか?ハッすまんな!俺には小春だけやからお前の気持ちには答えられへんぞ!!」







・・・・・・・・・・・・・・・・ユウくん?
どうしよう・・・すごく可愛いんだけど、すごく憎たらしい。
得意げにハハンみたな顔でイスに座る私を見下ろすこの子は本当にホモなんだなと再認識。
ホモは素晴らしいよね。けど、きみだけが小春ちゃんのこと好きで小春ちゃんはきみのこと別にそこまで思ってないんだよって言ってあげたい。
その得意げな顔を激しく歪ませてあげたいんだけど。
鼻で笑われたのがかなり不快だったらしい私はそんなことを思っていた。
いや、ユウくん可愛いよ!弄り倒したくなるほどに!
!!も、もしかしてユウくん相手だったら私上に立てるかも・・・!?
初っ端からラスボスだったから私は下になるしかなかったけど・・・ユウくんならいける気がする!!
ちゃんと逆らっていけそう!!よし、頑張れ私!!







「で、お前誰や?ここは男子テニス部の部室や。部外者が居ってもええ場所やない」

「ふ、ふんっ!私部外者じゃないもんね!一応白石のい、従姉だもんね!」

「白石の従姉ぉ?ほー・・・似とらんな」







悪かったな可愛くなく美人でもなくて!!
ユウくんが顎に手を当て腰に手を当て私の下から上までをじっくり見てくる。
私は負けじとユウくんを睨む、と見せかけて舐めるように見つめる。
くっ・・・涎出るくらい可愛いわユウくん・・・!







「けどお前、白石の従姉や言うても、その従姉が部室に何の用や?」

「え」

「なんかあったんか?」







こてんと首を傾げて私を見てくるユウくんに思わず言葉が詰まる。
素直にお弁当を届けたって言えばいいんだけど・・・お弁当渡したら即帰るはずだろ、なんでいんだよ?的なこと聞かれたら私なんて答えればいい?
正直言って嘘が苦手な私はうまいこと誤魔化せる自信ないよ?
ど、どうしたらいいかなぁ!







「なんや言えんことでもあるんか?あ?」

「いや、そういうわけじゃないんだけど・・・」







えーもうなんか、すごく、めんどくさくなってきた!!!
いっか。もう正直に言っちゃうか!別にお弁当届けに来ただけだし!やましい気持ちなんてないし!・・・・・・い、いやそれは嘘か。
やましい気持ち盛り沢山でこの部室入ったんだし・・・。
け、けど、お弁当届けにわざわざ、わーざーわーざー来たっていうのは褒めてもらいたいしね!







「ほならなんやねん」

「私、白石にお弁当を届けに来たんだよね。それでここにいるの」

「へーそらわざわざご苦労なこっちゃな」

「ま、まぁね!」

「で?」

「・・・で?」

「もう届けたんやろ?せやったらなんでまだここに居るん?」







警戒心MAXな感じで私を睨むユウくん。
その目は「お前嘘言うたらケツバットだけや済まさへんでぇ?」と言っているみたいだ!
こえーまじこえー!ちょ、想像したら予想以上にやばかった!違う私が生まれちゃうって!
私はかなり焦りながらユウくんに弁解をしようと口を開く。ついでに立たせてもらう。







「えっとね、それには訳があるの!私ここに来るまでにちょっとばかり迷っちゃったりして大変で一人で帰れないの!! それで白石が授業終わるまでここにいろって言ったから私はここで待っててですね、だから私は怪しくないんですよマジで!!」







鼻息も荒くそう言えば、ユウくんが若干私から下がって「そうか」と納得したような顔をした。
何故私から軽く距離を作ったのか問いただしたくなったけど、そこは自重して口をつぐむ。







「ふーん、まぁ、別にええか。小春狙いやないんやったらなんでも」







え?そこなの?ユウくんの警戒はそこなの?
本当に私に興味失くしたユウくんは、私が座っていたイスとは別のイスに腰かけた。
それを見ていたら「何見とんねん」と睨まれた。何この子見ただけで睨むとかちょー不良!けど可愛いよ。
私もイスに座ってさり気なくユウくんに近づく。その際ちょっとだけユウくんの顔が歪んだけど気にしないもんね!







「お前・・・あ、せや、俺お前の名前知らんわ。何て言うん?」

だよ。気軽にでいいから」

「ほー。まぁ小春の名前ほど可愛えないが覚えたる。なんや俺のこと知っとるみたいやけど、一応言うとく。俺は一氏ユウジや」

「よろしく!」

「おん、よろしゅう」







そう言ってユウくんはやっと笑ってくれた。
ニカッと・・・なんともまあ可愛らしい笑顔でね!
それからしばらくユウくんと色々話した。
学校のこと部活のことを小春ちゃん話を織り交ぜつつ色々と。
そしたらなんか仲良くなった。
ユウくんに親友とか言われるレベルに。
さっき上に立てるんじゃね?とか思ってたけど、なんか、同等になりました。















は本間話のわかるやっちゃな!!」

「えーそれほどでもないよぉ」

「数学は本間いらへんよな!あんなん将来何の役に立つっちゅうねん。金の計算さえできりゃええやんなーxとかy必要あらへんわ」

「確かに必要ないよね!!普段生活するなかでxもyも使わないっつの!なんていうかさ無駄な知識だよねー」







数学嫌い話でもう盛り上がる盛り上がる。
そのほかに私も美術が好きなのでそれによってまた話も広がる。
あと好きな映画の話とか。
意外にも気が合う私たち。これ・・・フラグ立つんじゃね?とか思った。
けど、立つわけないわ。
一通り話した後待ち受けていたのは、







「小春はなぁ本間妖精さんか思うくらい可愛えんやぁ」

「あれ?先ほどは天使って言ってませんでしたっけ・・・?」

「アホ!!!小春は天使でもあり妖精さんでもありエンジェルでもありフェアリーでもあるんや!」

「それ同じ意味だから結局は2つだけですよね!?」







ちょ、誰か来て!!
マシンガントークで小春ちゃんへの惚気話が止まらない止まらない。
いくら心の広い私でも私の口を挟む隙もなく延々と小春ちゃんへの惚気話はきつい!!!
そりゃユウくんは小春ちゃん大好きだからこういう系の話は来るだろうなーとか思ってたけど、ここまでとは・・・!!
あまりのマシンガンに私はツッコミしきれないぜ・・・!
笑顔を引きつらせながら幸せそうに語るユウくんを見て、本気で誰か来てくれないかと思った12時30分。







「そんでな、小春ったらそん時になんて言うたと思う!?」







こ、こいついつまで話す気だ・・・!




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