ここで会ったが百年目!!
い、いや実際はそんなには経ってないけど気分的にはこの台詞が一番しっくりくる。
シックスティーン!
「結構楽しそうにやってるみたいだね。こっちも見てて楽しいよ」
「まぁ確かに楽しいですけどね!だがしかし言わせて!!何故最悪な初登場にさせた!」
「最悪な初登場?なんのことー?」
「っこの、すっとぼけた顔しちゃってさ!お風呂だよお風呂!お風呂で初☆対面だよ!
しず〇ちゃんの入浴中に出くわしたのび〇の気分だったんだからね私!」
「ああ、あれね。やっぱ何事もインパクトがないとダメじゃない?」
「ディープインパクトすぎるよ!!」
エレベーターから微笑みながら出てきたのは、私をこの世界にトリップさせた神さま。
こいつの暇つぶしに私は今ここにいる。・・・いや、私が希望してたってのもあるけどね。
地団駄を踏んでなんとか怒りを放出する。ふんぬっ!!
見た目ちっさな子供の前で何やってんだとか思うけど仕方ない。
だって手を出したら最後、私ボッコボコのフルボッコにされそうなんだもん・・・。
そんなわけでクッソクッソ!と心の中で一万回ぐらい言っとく。クッソ!
「ていうかさートリップさせてあげたんだからいいでしょーなんでそんなに怒るのか僕わかんなーい」
こういう時だけとことん子供ぶるよなこいつ!!
マジないんですけど!!!
さっき放出させた怒りがまた戻ってきた!
さっきよりも高速な地団駄を踏むと、きゃっきゃっとしながら「きもーい☆」なぁんて言ってきた目の前のクソガキな神さま。
こーんのやろ☆握力の限り首絞めんぞ☆
「ちょっとそんなブッサイクな顔で僕のこと睨むのやめてよ」
「ブ、ブサッ!?し、失礼な!」
「だって事実でしょー女の子そんな形相初めて見たよ」
「っ誰のせいだ誰の!!」
「さぁ?誰のせいでしょうねぇーというか、彼固まってるけどいいの?」
「はぁ・・・?あっ忘れてた!ごめんね、白石!!」
クソガキがニタニタと嫌な笑みを浮かべながら指差したのは私の後ろ。
そこにいるのは、さっきまで私にぐちぐちと説教していた白石。
そういえばこのクソガキが出てから全然喋ってなかったな・・・って当たり前か。
こんなクッソ生意気なクソガキがいきなり登場したらびっくりするよね。
しかもトリップしてきて身寄りのないはずの私と話してるんだもん、そりゃ驚くわ。
ちゃんと説明しなきゃ・・・紹介じゃなく説明。紹介なんてしない!
・・・あ、そうだ!
あと私の初登場シーンもクソガキのせいなこともきちんと説明しよう・・・!
私が可哀想な被害者だってことわかってもらわなきゃ!
そう思って、私はクソガキを指差して口を開こうとしたのだが・・・、
「・・・お前さっきから誰と話しとんねん・・・」
「・・・・・・・・・ぇ?」
白石が果てしなく可哀想なものを見る目で私を見ながらそう言った。
ん?ちょっと、待って、なんかおかしくない?
おかしいよね?おかしいよね、これ。
誰とって・・・そりゃ、コイツですけど・・・。
私はそーっと、自分の後ろを振り返った。
うん、いるよ。コイツコイツ。
めっちゃ堂々と偉そうに腕組んでニタニタしながら立ってるよ。
もう一度、白石を見ると、訝しげに首を傾げてる。
・・・ん?
なんか、おかしくない?
「あの、白石?」
「なんや?」
「あの・・・このクソガ、じゃなくて、この子供のことなんだけど・・・」
「は?・・・・・・子供なんてどこにおんねん。お前、本間大丈夫か?」
「は?・・・・・・いや、え?ここにいるんだけど・・・」
「ちょ・・・あんま気味悪いこと言うんやないで・・・俺そういうんは苦手やから」
サッと私から顔をそらす白石に、サッと血の気が引く。
ん、んーんー・・・ええっと、えっと、これまさかとは思うんだけど・・・。
ギギギと効果音が付きそうな感じにクソガキの方を向けば、奴は私が今まで見てきた中で一番嫌な笑みを浮かべてとんでもない一言を発する。
「ちなみに僕ってば、きみにしか見えない設定だから」
「なんてややこしい設定にしてんだ!!」
思わず頭を抱えてエレベータ前で膝をつく。
どうやらこの神さまはとことん性根が曲がっているようです・・・・・・うぜぇ!
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