大好きな人は紙の中、または画面の中。 え、なに? どういう意味だって? ・・・要するに、私は二次元に恋してるんですよ!!ワン!私の見た目は、どこにでもいるような女子高生。 クラスできゃいきゃいと恋バナや流行のドラマのことを話し、授業中は密かに携帯をいじりながら静かに授業を受け、 学校の帰りには友達とコンビニとか行って何時間でも店の前で話をしてそうな女子高生である。 しかーし!それはあくまでも見た目の話であって、実際の中身はというと・・・ 二次元のホモ話が大好物な腐女子と呼ばれる女子高生。 そして、キャラと勝手に恋愛しちゃう夢話も大好きなヲトメちゃん。 むしろなんでもありなヲタクちゃんでもある私、は只今ピンチに陥っております。 「な、なななななんでぇ!?どうして!?ちょちょい!落ち着けぇ!!」 頭を抱え、部屋の真ん中でひたすら苦悩中。 なんてことだ。私のハニーが・・・マイハニーがう ご か な い だ と !? マイハニー(PS2)がディスクを入れたというのに動きません。おかしいです。これは緊急事態です。 今日は久しぶりに部活がなかったので、早く家に帰れたからゲーム三昧きょほぉぉぉい!!だったのに、 なんですかこの仕打ちは!! コルダ2攻略途中だからやりたかったのに・・・!!ガンガンと頭を床に打ちつけながら、 このやり場のないもどかしさにのた打ち回る。 (頭を予想以上に強くぶつけたことによる猛烈な痛さにのた打ち回ったわけでは、ない!) 「ああああマジどうしよう・・・今月のお金はもう13円しかないし・・・」 まだ今月に入って10日しか経ってないが。 うぅ、ママンに言ってもお金を貸してくれるわけないし・・・いや!! ハニー(PS2)が壊れただなんてまだ決まったわけじゃない!! そうよ!自分にそう言うと、ハニー(PS2)の前に正座をする。 大きく息を吐いて、吸って・・・。 「これより、ハニー復活儀式を行います」 ・・・一人でなに言ってんだ私。 言った後、ものすごく恥ずかしさが込み上げたが、今はそんなことはどうでもいいのだ! 私の恥ずかしさなんてクソの役にも立たないんだから!! と独り言をぶつぶつ言いながら、ハニーとダーリン(テレビ)の接続を確かめる。 うん、ちゃんとくっついてるよね。 ハニーの起動ボタンを押す。 うん、反応ないね。 「・・・絶望した・・・ッ!!」 ハニーの前で項垂れた私をあざ笑うかのように真っ黒なダーリンの画面。 ううううう、こんなのあんまりだ・・・!! ちっきしょい! あまりの悲しみに涙が出てきそうだぜ!出ないけど! あーあーあーあー、口から漏れるのは無意味な言葉。 「叩いたら動くかなー・・・」 動かないハニーを見つめて早10分弱。 あーあーあーあー、言うのも疲れてきた。それになんか馬鹿っぽいし・・・。 そこでふと思いついたことは、 よくテレビが映らなくなるとやるアレ。 まぁそう思ったなら、即行動が私なわけで・・・。 「壊れない程度に優しい鉄拳を・・・」 グッと、拳を作り、ハニーににじりにじりと近づいていく。 今の私は、ものすごくコルダがやりたいわけで、やった後に同人サイトを駆け巡って ニタニタして、光謙サイトも見てニタニタしたいわけで・・・! だから早急にハニーを直さなきゃいけないわけで・・・! 「頼むからこれで直ってよー・・・」 スッ、手を上にあげて・・・―――― バンッ 軽めにハニーを叩く。 そして、おそるおそる起動ボタンへ手を伸ばし・・・押す。 「ッ!!つ、ついた!!」 見事、画面がつい「なにしてくれてんのさ、きみ」・・・・はああ!? 「ちょっ、はぁ!?はあああ!?」 「うるさい」 ごめんなさい!じゃなくて!! え、え、ええ?今、えええ? すいません、ゲームをやりたくてたまらない気持ちがついに幻覚を呼び起こしたみたいだ。 だって、あっはっはっ!画面から子供が出てくるなんてね、あっはっはっ! いくら子供好きだからって私ってばぁ、こんなのを見る・・・・・・なんて、ねぇ? おかしくない?まぁ私確かに人としておかしいけど、これはおかしすぎでしょ! 頭ん中じゃわたわたわたしながらも、画面から出てきた少年をガン見する。 あ、やべぇ普通に好みだわ。じゃなくて!! 「何なんだ君はー!!」 「うるさいって言ってるでしょ。それにきみ随分、失礼なこと考えてたねぇ。この僕を子供だってよ!馬鹿かお前」 「なんで後半そんな口悪いのぼく!ダメでしょ!家帰んなさい!けどその前に君は何ですか!?」 「神。」 「即答で何言ってんの!病院一緒に行く?」 「きみは病院に連れて行かれたいの?」 「私が連れてかれるの!?」 なんてことを言うんだ! そんな私の突っ込みをシカトしながら、少年は私の部屋をぐるりと見渡す。 時折、「ふぅん・・・汚いねぇ」などとほざきやがった。このやろーめ・・・。 しばらく黙って私の部屋を見渡してる少年を見ていたら、いきなり少年がこっちを向いた。 「なっ、なに?」 「さっきも言ったとおり、僕はね神さまなんだよ」 「・・・ホント頭大丈夫?」 「とりあえず、なんでそんな偉大な僕がきみみたいな頭の悪いむしろすべて悪い子の前にきたと思う?」 そんなん知らんがな!つうか、すべて悪いってなんだこのクソガキ!! 少年が発した私に対する暴言に口元がひくひくしながらも、必死に考える。 なんで、この子が来たかって? ・・・・・・・・・・やっぱわかんねぇや。 とりあえず、わかってることと言えば、この子殴りたい。 「・・・はぁ。やっぱわかってないね。」 「!わ、わかるわけないっしょ!」 「きみさ、さっきPS2叩いたでしょ」 「はぁ!?何言っ・・・・うん叩いたね」 「それでそんな悪い子は別世界にぶっ飛ばしちゃうぞ☆てへ!ってなわけでぼくが来たわけだけど・・・」 「へぇ・・・ぇぇええ意味わかんないんだけど!!」 思わず頷きかけてしまった! 私はすぐさま顔をあげ、少年を見ると、 少年はうるさそうに眉を顰めて「一発でわかれよ」と私にコントローラーを投げてきた。(てんめええええ) 頭に直撃した私はのた打ち回りたいのを我慢して、少年をにらむ。 っとにこのがきゃー・・・!! 「こ、コントローラー投げるなんて非常識よ!!」 「きみの存在が非常識だよ」 「自分のことを神とかいう君の方が非常識だ!」 「あーもうホントうっさいなぁ。まぁとにかくさ、きみが飛んでもらう世界はテニプリね。」 「はい!?」 「きみテニプリ好きでしょ?」 「大好きです!じゃない!!」 「え、嫌いなの?」 「いや、大好きだって!!いや、だからそうじゃなくて相変わらず君は何言ってんの!?」 私がキレ気味に少年にそう言うと、少年はめんどくさそうな顔で口を開いた。 「きみが叩いたのはね、神様が暇つぶ・・・こふこふん! 優しさを込めて作った超万能機械チップが入ったPS2だったんだよ。 それゆえ、とても珍しくて大事にしなきゃいけないものなんだ。 それなのに、きみときたらそれを叩きやがって・・・まぁそんなこんなでぼくが来て、 罰として別の世界に行ってもらうってわけ。ごめんぶっちゃけ説明めんどい。」 ・・・・一番最後のは聞かなかったことにしよう。私の拳、落ち着け。 えー、と、要するに叩いちゃいけないものを叩いちゃったから、別の世界に飛ばされるってわけだよね? えーと、しかもその別世界が二次元で、さらにはテニプリで・・・・え、ちょっとまって。 「え、なんでテニプリ?」 「なに、なんか不満でもあんの?」 「いやっ全然不満じゃないんだけどさ!けど、けどね?私は今からコルダをやろうとしてたんだよ?」 「うん、知ってるよ」 「それなのに、なんであえてのテニプリへのトリップ!? 普通、コルダやろうとしてたんだからコルダの世界に飛ぶもんじゃないの!?」 そうだそうだ!普通、トリップといったら本人が今一番ハマってるものに行くもんだよね!? それなのに、テニプリ好きだけど、テニプリ!? ちょっとおかし「そんなさぁ、王道なんてつまらないんじゃん。」 なるほどそういうことね、こんちきしょ! 「あーそうだ。希望の学校ってどこ?どうせならそこに飛ばしてあげるよ」 「マジでか!なんかもう色々と軽く流されてるけど、いきたいとこは四天宝寺かな!」 「混乱しながらもきちんと答えるきみはすごいと思うよ」 とか言いつつ、顔が少し呆れ気味なのは私の気のせいですか? そうこうしているうちに、少年は私の鞄を引っつかんで、財布と携帯とティッシュとハンカチをつめて私に投げてきた。 いったいなぁ!と言う前に少年は何やら紙に何かを書き込んでいる。 なんだ? 「しょうね「行き先は白石くんの家ね」 「・・・・は?」 「きみのテニプリで好きなキャラは謙也なんだよね?」 「はい、そうですけど・・・」 「ということで白石くんの元へ行ってもらいます」 「そこまで知っといて私を白石くんの元へ飛ばすのかよ!!」 「うん!!」 「すんげぇ輝かしい笑顔でうなずくな!」 腹立つなこのガキ・・・!! 一発だけでも殴ってやろうと少年に近づこうとした瞬間、身体が、浮いた。 浮い、た・・・・・・・・・浮いたぁ!? 「はいぃ!?え!?なんかしかも光りだしたええ!?」 「んじゃ、もうきみうるさいから飛んで。」 「なんだその理由はあああ!!もっと手順とかあるでしょう!?」 「そんなもんきみに必要ないと見た。」 「てめええええ!!とことんてめえええええ!!」 「じゃあね、。せいぜいぼくの暇つぶしになってね!」 「!ホントはそっちのが本音かああああ!!?」 おっきな穴ができたと思ったら、いつのまにかそこに吸い込まれて、 視界がぐるぐると回っている。あ・・・・これ落ちてる? 最後に見たのは輝かしいくらいのあの神と名乗る少年の笑顔。(一発だけでも殴りたかった。) 少年に渡された鞄を抱き締めながら、どこまで続くかわからない穴に落ちていく。 ・・・・・・・・・って、やばくない!?私!! 落ちてるっておまっ危ないじゃないか!! わたわたわたともがいてみたが、いかんせん、まったくなんにもならない。 ちょちょいちょいちょい!! あああ、どうしよう!と頭の中で考えても全っ然いい案が見つからない!! 困り果ててる私の視界にキラリと光ものが見えた。 それは下の方にあったのだが・・・どんどん近づいてきてる気がするんだけどなぁ・・・。 小さな光がどんどんとおっきくなっていく。 これは、ちょっと、待った・・・・ぶっぶつかる・・・・!!!―――――――― 「ぶっはぁっ!?ええええええええ!?」 「うぉっ!?はあああああ!?」 気づいたら私はお湯の中にいて、酸素を求めて勢いよく出たら・・・・ そこにはまぁあの・・・・・・白石蔵ノ介くんがシャワーを浴びておりました。 ・・・て、えええええええ!? →Next