はーい! 今から前回のお話のおさらいをするお! 腐女子dayを今日も過ごそうとしていたピッチピチ(死語)の女子高生、 ちゃんはいつも通りゲームをしようとしたところ、あら大変☆ なんとゲームがいつまで経っても始まらない! くじけそうになった私は、決死の思いでハニー(PS2)を叩いく・・・すると、 まぁびっくり!神様だとか名乗るクソガキがダーリン(TV)から出てきちゃった☆ 〜省略〜 ・・・まぁ、そんなこんなでクソガキのせいでトリップをはたしちゃった私ですが、 現在、激しくブリザードのような空間で仁王立ちをし人を射殺す勢いで見つめてくる白石蔵ノ介くんの前で正座中です。 (おかしいこの状況絶対おかしいありえないこんな展開まさかすぎてパニくるんですけどちょっとおおお)
ツー!
「で?」 「い、いやですからね!神さまだとか意味わかんないことをぬかしやがったクソガキが私のことを、  この世界に飛ばして尚且つ君のところにとばし「警察呼んだろか?」 はいっ! ラスボスも裸足で逃げるくらいな真っ黒なオーラで言い放った言葉に、 正直私は顔面ぐしょぐしょにして泣きじゃくりたい気分でございます! さっきのお風呂での登場は私も確かに命の保障はないなと思った。 いや、普通にお風呂でザパー登場はねぇわ。普通に警察ルートまっしぐらだわ。 そんなありえないトリップ登場をした私を、すごく、ものすごく驚き戸惑い警戒しながらも、 私から話を聞くためにリビングにあげてくれただけ彼はすごいと思う。(私だったら話聞く前にシメてる気がする) さらにはお風呂で全身びしょ濡れの私を見るに耐えかねて、白石は私に服を貸してくれました。 ちょっと服から白石のいい匂いが香るのでお姉さんどうにかなっちゃいそうです。 ・・・じゃなくて!!とりあえずこの状況どうしよう・・・。 先ほどからトリップしてきましたみたいなことを簡潔に述べているのだが、一向に信じてもらえず空間はブリザード。 冷や汗もハンパない量で、白石から借りたTシャツを汗でびしょびしょの状態で返すことになったら・・・ どうしようという思いでいっぱいいっぱいになってきた。つ、つぅか、まずこんな状況ってなんかおかしくない!? 夢小説で読むよくあるトリップていうのは、トリップしてキャラに会った瞬間だいたいみんな意外とその事実を すんなり受け入れて、主人公も快く受け入れてくれるもんじゃないのかな!? いやまぁ確かに登場の仕方は失敗したと思ってるけどね!や、でも登場に関しては私悪くないし! あのクソガキが悪いんだし!ハッ! こんな状況を生んだのも、やっぱ何の準備もせず私をこっちに飛ばしたせいなんじゃないの!? っだとしたらあのガキャア今度会ったらぜったダンッ!! 「ん?まだ話は終わっとらんのに、一人考え事とはええ度胸やなぁ」 「す、すすすいません!!」 「もっぺん聞くで?お前はなんや?そいで、どうやって風呂から出てきたん?」 こ、えええええええ!!!! 思わず土下座をしてしまった私。不可抗力だ。誰だってこうなる。絶対なる。マジなるから。 だってさ!!いきなりさ!盛大にさ!床を思いっきり目の前で踏み鳴らされてみなよ!! 怖くて土下座しちゃうしどもるって!!私のが年上なのになぁみたいなこと考える暇なく土下座だからね! 額を床につけながらブルブル震えてると、白石がため息まじりに 「・・・別に土下座せんでもええやろ。早よ顔上げ」とお言いになられたので恐る恐る顔を上げる。 腕を組んで仁王立ちをし、眉間に少しだけ皺を寄せて私を見下ろしている姿は、 何故か美しく見えるこれ白石クオリティ。その姿は軽く神がかってるよ・・・ちょっとお前なんか嫉妬するわ。 じっと、私が白石を見てれば、白石の眉間にもう一本皺が刻まれ、た、ひいいいいい!! 「なに見とんのや」 「す、すいません!あまりに白石蔵ノ介殿が麗しすぎたので眼球に焼き付けようとしましたサーセン!」 「・・・お前、なして俺の名前知っとるん?」 ガッデム!また話がややこしくなりそうな予感! 私がポロリと漏らした本音についてはスルーをしたが、 私が白石の名前を知ってることには食いついた。なんとも答え辛いとこで食いつきおって・・・。 さっきより剣呑になった目で私を見てくる白石に冷や汗が10倍増しした。 あああ本気でどうしようかなぁ!私説明下手クソなんだよね・・・!! あのガキここらへんの身の保障とかちゃんとして事情をすんなり受け止められるようにしとけよ・・・!! 私は口元がヒクつくのを感じながら、必死に頭を動かす。・・・あのガキ殴りたい・・・・。じゃないよ!! やばい、今何考えてもあのムカつくくらいのいい笑顔で私を飛ばしたあのガキへの殺意しか浮かばない・・・! あのあのあのあのヤローめ!! 「おい、答えられんのか?」 「へっ?あ、いや、ちがくて・・・」 「なら、早よ言い」 今度は怪訝そうな顔で私を見ている白石に慌てて、言葉を発する。 白石そっちのけで考え事なんてできる暇なんてなかったんだった!そんで間抜けな声でたけど、ドンマイ自分。 とりあえず、気持ちを落ち着かせて白石に今おかれている私の状況というものを わかってもらわなければ!そう思い、口を開く。うし、頑張れちょっとばかし足りない私の脳! 「えっと、ね、まず、私がお風呂から出てきたことについてなんだけど・・・、  って、その前に自己紹介した方がいいよね!私、って言って一応一般女子高生という風に  過ごしていたわけですが・・・ひょんなことからこの世界に飛ばされたと言いますか・・・」 「この世界・・・?」 「あーえーっと、だ、だからね、PS2を叩いたら神さまという子がいきなり現れて、私が叩いたPS2は実は神さまが作った  すごいものが入ってたみたいで・・・あーそれで、その神さまが怒って罰としてこのテニスの王子様の世界に  私を飛ばしたみたいな・・・・ああああやっぱ私説明苦手なんだけど・・・!ちょっ今の白石わかった!?」 「まったくわからん。そもそもありえんやろそんな話」 「ですよね!」 「ちゅーか、『このテニスの王子様の世界』てなに?」 「えっと・・・また説明し辛いなぁ・・・そうだなぁ、まぁ、これまた君にとっては信じがたい話なんだけど、  ここ漫画の世界なんだよね」 「は?」 そこまで言うと白石は心底わけわからんという顔で首を傾げた。かわいいなこのやろう。 しかし私としてもなんて説明していいかわからず、首をひねる。 うーん、どう言ったらうまく伝わるのかなぁ・・・。言葉って難しい・・・。 そんな頭が破裂しそうな感じで説明に行き詰ってる私に、今まで首を傾げていた白石が口を開いた。 「・・・お前が言っとることはつまり、お前は違う世界から来た。」 「!そ、そう!」 「んで、この今俺がいる世界はお前の世界だと漫画。」 「そうそう!!」 「ありえん。お前頭大丈夫か?」 「ええええ」 白石は私が言いたかったことをスラスラと簡潔に言っといて「ありえん」と一言一刀両断をした。 でも、そんなこと言ったってホントのことだし・・・。 私はなんとかそのことを信じてもらいたくて口を開こうとするがいい言葉が見つからない・・・。 さすが私の腐りかけた脳。困ったな・・・マジで。 うーん、またもや首をひねっていい言葉というか説明をしようと考え込む。 そして、あるひとつのことを思い出す。 「あ!かばん!!」 「は?」 そう鞄!あんなかには私の嫁の携帯がいるはず! そこにはテニプリの画像がたんまり入ってるから、それを見れば多分私の言ったことを白石も信じてくれるはず・・・! 大慌てで周りを見渡すが、私の鞄らしきものがない。 両手をわきわきする。うん、もってない。 白石を見る。首を傾げてる。 もう一度周りを見渡す。清潔感あふれシンプルな部屋。 ・・・・・・・・・ちょっかばんんんんん!? 「えええええ鞄どこですか!?」 「や、鞄なんて見とらんけど」 「ええええええマジか!」 「おん、マジやな」 「ガッデムじゃ!」 頭を抱え思いっきり前に屈んだ瞬間、頭を床に打ち付けのた打ち回る。(前にもあったなこんなこと・・・) ぐぬおおおお、乙女らしからぬ声を発しながら、絶望的な状況に絶望した・・・。 せっかく持たされた鞄なのに私ってばどこやったんだ!?う、どうしよう意味もわからず涙が出てきそうだ・・・! いくら見渡してもない鞄に、はああ、と大きなため息を出て座り込む。 ぐっばい私のトリップ生活。こんにちわ牢屋生活・・・。 そんな急激に静かになった(というか暗くなった)私を心配してか白石が控えめに声をかけてくれた。 「おい・・・?」 「最後の砦、白石に私の話信じてもらうためのものないみたい・・・」 「(最後の砦?)そうなんか?」 「はぁ・・・これから私はどうなるのでしょうか・・・」 「せやなぁ」 「警察に御用になるのか・・・それもいいかな・・・」 「・・・なぁ、お前って本間に行く当てがないん?」 「うん・・・」 「・・・じゃあ、本間にお前は・・・違う世界から来たんか?」 「うん・・・」 「・・・名前もう一度聞いてもええ?」 「」 「知っとるかも知れんが、俺は名乗った覚えないからな、改めて言うわ。俺は白石蔵ノ介や」 恐ろしいぐらいにテンションガタ落ちな私に対して、急に優しい対応になった白石。 本当は喜ばしいことなのだが、今の私にはなんともいえない感じだ。 憧れのトリップをはたしたというのに・・・なんて落とし穴だこれは。ショッキングすぎる。 大好きなキャラにこれからたくさん会えるのかなって思ったのに・・・はあああマジで涙でちゃうってこれ。 はあああああああ。ため息は際限なく出てくる。どうし、よう。 じわ、と視界が歪み始めた。うお、自分でビビる。え、嘘、涙!? えええええちょっどうした私ィ!?予想外の自分の身体の反応に驚く。 「ちょっ泣いとんのか!?」 「ええええ私泣いてんの!?」泣いとるやんけ!あ、ほら、ティッシュ!」 「あ、ありがとう!や、でも一枚じゃ足んないわ鼻かみたい!」 「ほなら三枚!」 「ありがたい!」 白石が少し笑いながら「お前変なやっちゃな」て言ってきたが、私から言わせてもらえば白石のが完全に変だと思う。 ブビーと鼻をかみながら、白石を見る。・・・やっぱかっこいいなこいつ。 まつげ長いし鼻高いし顔のラインはすらっとしてるし肌白いし・・・私が今まで見たどの女の子より綺麗だ。 何故神・・・じゃないや、作者はこんな美形作ったんだろうか・・・いや、萌えるけど。 悶々と考えながら私の妬ましい視線を受けてる当の白石は、口元に手をやり考えてる。絵になるなちくしょう。 「なぁ、」 「ん?」 「警察行きたいか?」 「・・・・いや、なるべくは行きたくないですがね」 「そうか」 こっちに見るなり口を開いたと思えば、何を言い出すのか・・・。 苦笑いでそれに返すと、白石はまた考え込むように目を閉じて腕を組んだ。 鼻をかみながら、白石どうしたんだろなーなんてのんきに考えてみる。 まぁさ、あれだよね、いざとなったらあのクソガキが助けてくれるよね!うん! あーてか鼻ごみがだんだん溜まってきたな・・・ゴミ箱どこだろ。「じゃ、しゃあない。ここに住ましたる」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ん? 「え?ん?なんか言った?」 「行く当てないし、なんかお前の話だんだん本間みたいな感じになってきたし、せやったらここに置くしかないやろ」 「・・・・・・・・・マジ?」 「マジやな」 急激な展開すぎて、某歌の歌詞のごとく思考回路はショート寸前。 鼻ごみの塔を崩しそうになりながら、白石の言葉を頭で思い返す。 え・・・・・・マジですか? 私は口をぽかんと開けたまま、さらっと言いのけた白石の言葉に呆然とするしかできなかった。 →Next