遅い朝食を済ませリビングで白石と仲良く懲りずにお笑い番組を鑑賞中(白石ガチで顔こええ)、
白石の携帯がピカピカとブーブーと鳴って誰かからの着信を伝えた。
そう、それがトリップ二日目にしてのプチ騒動を巻き起こすとは・・・

















シックス!























「あー面倒なことになってもうた・・・」

「えーなんかあったのー?」






自分でも恐ろしいくらいの馴れ馴れしさで、 ごろごろと床に転がりチャンネルをカチャカチャ変えながらテレビを見てたら、 携帯を持ってリビングから出て行った白石が戻ってきた。
心なしか顔が引きつってる。なんかあったのかな?
さっきのは電話だったみたいだけど・・・誰だったんだろ。
私は首を傾げ白石の言葉を待ってみたけど、なんか険しい顔のままぶつぶつ独り言を言ってる。
ちょっとちょっとーお姉さんさっき「なんかあったのー?」って聞いたんだけどー。
なんだかシカトされた気分だ。
いやむしろこれシカト?まって、私シカトだけは嫌なの。寂しいから。






「ちょっとーちょっとちょっとちょっとー」

「うーん・・・まぁ家にあがらせんようすればええか」

「えっなにシカトっすか?えってか誰かくるの?」






ソファにぽすんと座ったあとも私へのシカト行為は止まらず、目の前で手を振っても華麗にシカトをされた。
真面目に切ない。 しょうがないから私は大人しくテレビに向き直ることにした。
はは、ちょーおもしろー(棒読み)






「なに笑っとるんや・・・!!」

「ぎゃー!えっえっなに!?」

は同志や思っとったのに・・・今の何がおもろかったん?あぁ!?」

「ええええなぜにそんな怒ってらっしゃるの白石くん・・・!」






つうか同志ってなによ同志って!なんの志を共にしたっていうの!?
別に面白くないけどふふっと笑いもらしたら白石がいきなりつかっかってきた。
ホントいきなりすぎるし口調明らか脅し入ってるしで超ビビる。
口元を引きつらせながら真剣な顔をする白石を見るが、おいおい、顔が本気すぎて怖ぇぜ兄ちゃん。
慌てて「会場のノリに合わせて笑ってみました!」と(別に会場にはいないが)答えてみたら、 しばらく沈黙して「ええKYやな」と呟いた。あ、あれ?今の言い訳ありなんだ。
ま、まぁ、いっか。変に突っ込んだらまた変に怖い目に合うし。
体育座りをして黙りこんだ私は白石の様子をチラチラ気にしながら、テレビを見た。
なんていうか、はい、美形って嫌でも目で追っちゃうよね。
白石の美形は目の保養すぎてたまんないわ!これでドライアイも怖くないってなんちゃって!






「・・・さっきからなんやねん」

「えっ!」

「チラチラ見とるやろ?俺の顔なんかついとるか?」






ええそりゃもう綺麗なパーツがついてます。美形パーツって言うんですかね?
私にもそのパーツ分け与えてくれませんかね?
な ん て ね !
そんなこと言えるわけもないので私は曖昧に笑って誤魔化した・・・かったけど、もちろん白石の前じゃそんなこと無理なわけで、 私は「早よ言わんと今日の寝床はベランダやで?」と言って綺麗に笑う白石くんを見て即座に口を開いた。






「いやっあのですね!いやっそのですね!」

「はい、なんですか?」

「いやーなんか白石さん顔綺麗だからどっか分けてくれないかなっみたいな、ね!」






あっはっはっと笑いながら勢いまかせて言ってみたら、白石が驚いたように目を真ん丸くした。
あ、あれ?私ってば変なこと言った?あ、いや、確かに後半は変なこと言ったかなとか思ったけど事実だしいいよね?
え、うん、言えって言ったの白石だしさ、うん!






「・・・俺が綺麗?」

「え、う、うん」

「男なんやけど」

「え、う、うん、知ってる」

「男の俺が綺麗?」

「え、う、うん、うん、綺麗」






というか、美形?イケメン?あ、それ同じ意味か・・・?あ、誰か国語辞典寄越して!
私の回答に対して予想以上に白石が不思議そうに尋ねてくるので、なんだか困ってきた。
そ、そんな突っ込んで聞いてこなくてもいいじゃない?
だが、白石も何やら複雑そうな顔をしている。






「お、お茶いれてくるねー」






そそくさと立ち上がり、この気まずさから逃げようとする。
まぁちょうどのども乾いてたしね!
台所に入り、緑茶と紅茶どっちにしようかなぁと迷って白石に聞こうと台所から顔を出した途端、
玄関からチャイムが聞こえた。
あれ?お客さんかな?それともなんかの勧誘とか集金とか?
ふと白石を見れば、驚いたように固まってる。
あ、あれれ?出なくていいのかな?
そんな風に思ってる最中にもチャイムは鳴っている。
えええ、と、






「えっとー・・・白石、出なくていいの?」

「!!わ、忘れとった!!、風呂場に隠れとき!」

「え、えええ!?隠れときって・・・なんで!?」

「ええから!今誰が来ても、絶対に、風呂場から出たらあかんで?」






ピピピピンポーン、ピンポンピピピピピピピンポーン!






「え、え、え、なに!?なにこのピンポン連打いたずらですか!?」

「性悪な奴の悪質ないたずらやから気にせんとき!ええから、早よ風呂場行け!」

「いやそれマジ最悪じゃね!?てか、なんで私が風呂場に隠れなきゃ行けないのさ!あ、お客さんでしょ!だったら私お茶出しますよ!ちょうどいれようとしてたしのど渇いてるし! ・・・・・・ハッ!!もしかして彼女!?」

「ちゃうわ!!女を家に呼ぶことなんてありえへん!」

「じゃあ男はあるってことだよね!!ホモ!?」

「友達は普通に呼ぶやろ、しばくで」






その瞬間台所からひょこりと出ていた私の頭にに白石くんのが腕がビュウンと飛んできましてね、私がビュウンと飛んでソファーに頭から突っ込んだ。
ピンポンピンポンとかうるさいBGMの中、あまりの痛さに床をのた打ち回る。
ちょつむじがソファーに置いてあったリモコンに直撃したんですけど・・・!マジありえねえええ!
もうね、私これ完璧痔か下痢になんじゃねえかってくらいつむじにヒットしたんだよこれホント痛い。






「ちょ、もォォォォ痛いんですけどもォォォォォ」

がありえへんこと言うからや!ええから早よああもうっ何回言わせんねん!!」

「す、すいません!けど女の子に強烈過ぎるラリアットはアウトだと思うんですけど!」






お互い半切れと化したこの状況。なんなのこれ。
頭痛いのに何故か頭を白石に掴まれてる。だから痛いっちゅーねん!
ほがほがともがきながら文句を叫んでいるとガチャリと妙な音が聞こえてきた。
白石にもその音は聞こえたらしく二人揃って音の方向へ振り向く。なんだってんだい!こんな大変なときに!!













「部長ー鍵が開いとったんで勝手に入らせ・・・あれ?部長いつの間に彼女できたんすか」













・・・・・・・・・・・・・・・あえうおおおおいいいいいい!?
玄関から伸びる廊下とリビングを隔てるドアが開いていてそこから登場した人物に、私たちは見事に固まった。
そして、つかみ合っていた私と白石はゆっくり離れて、ゆっくりと後ろを向く。






「あ、ああああの、」

「あーもう最悪すぎてこれもうあかんわあかん」

「あああああの人ってまさっまさか、」

「・・・俺の部活の後輩で、財前光っちゅう生意気な奴やわ」






キっっっ・・・・・・・・・・・・・・キタァァァァァァァ!!




→Next