「・・・それで、きみ達は何しに来たの?特にきみね、そこのにへばりついてるきみね。」
「悔しいの・・・?」
「別に」
「じゃあ、寂しいの?やっだ、雲雀さん可愛いー!うげえ」
「おい、最後のなんだお前。吐くぐらい言うの嫌なら言わないでよね」
イラつきを眉間に皺を寄せるだけで押さえていたが、限界近いな、これ。何が一番イラつくかって、そりゃ、こっちをニヤニヤしながらに抱きついてるナッポー女でしょ。
ああ、咬み殺してやりたい。
「もー、雲雀さんったらそんな怖い顔しないでくださいよねー!ほら!これあげるから!シン・アスカのキラキラカードだよー」
「それこの前三枚ダブっていらないって言って僕に押し付けてたやつだよね。またダブったのか」
「う、うるせぇやい!愛で引いちゃったんだよ!」
はちょっと悔しそうな顔でカードを胸ポケットへしまう。(しまうんだ・・・)
そして今度はズボンのポケットから小さな袋を取り出す。もう1つ取り出す。また取り出す。さらに取り出す。・・・・・・
「え、なに、え?のポケットなに?」
「四次元ポケット〜」
「んなもんあってたまるか。その前に・・・・・・・その前に、あの子どこ行った?」
突っ込みたいことはたくさんあったが、能天気にヘラっと笑うの腰に今までへばりついていたあの子がいつのまにかいなくなっているのに気づく。
なんか嫌な予感がして、キョロっと辺りを見渡すと・・・・うん、的中だ。なにやってるあのアマ。
「きみ何してんのねぇやめろって言ってたの聞いてなかったの早くその手をどかしなさい」
「私はの言うことしか素直に聞かないから・・・」
「、今すぐ止めて」
「えーさっき雲雀さんシンのこと拒否ったじゃんー」
「いや関係ないと思うんだけど。しかもきみも拒否って僕に押し付けたくせしてなに言ってんの」
「愛だよ、愛故の行動」
「それは随分歪んでるね」
そんなくだらない言い合いをしている内に、ガコッという不吉な音が応接室に響く。
一瞬にして凍る空気。はそーっと後ろを振り向く。僕もそーっと、の後ろにあるブツを見た。
「・・・」
「あ、髑髏ちゃんリボンほどいたんだ」
「うん」
振り向いた瞬間、は軽い感じにクロームにそう話しかけると、箱のところまで小走りで行く。クロームはほどいたリボンであやとりをしている。
リボンはほどかれたものの、箱は開く感じがまったくしない。でもあの時確かに、動いた。から、油断はできない。
「ほらー雲雀さんなにそこに突っ立てるんですかー!こっちきてこっちきて!」
「え、いいよ。僕はいいって」
「が言ってんだから、来なさいよ」
「きみはいい加減自分のあるべき場所へ帰れ」
「だって、」
「僕はクローム髑髏に言ったんだけど。」
「、雲雀恭弥は下心ありありね。逃げて。」
「なぜそうなる」
「・・・雲雀さんと髑髏ちゃんって何気仲良いね」
「「は?」」
僕とクロームが軽い口喧嘩(+にらみ合い)をしていたら、なぜか大人しくなっていたが、不愉快かつ理解できないことを言ってきた。
誰と誰が仲良いって?どこをどう見たらそうなるんだろう。ほら、クロームの顔見てみなよ。ものすごく顔歪んでるよ。なんとも言えない顔だよ。
多分僕も相当ひどい顔だと思うけどさ。
「えーと、」
「・・・疲れた。僕もう帰って良いかな・・・?」
「・・・、私もう帰るわ。あとは頑張ってね・・・」
「え、雲雀さん?髑髏ちゃん?」
「ふぅん、やっと帰るんだ。」
「に誤解されるの・・・嫌だから・・・それと、今日はこれ、持って帰ってあげる」
クロームが心底嫌そうな顔で僕に近づいてきたと思ったら、小さくあの箱を指さしながら僕に小さく「貸し1つ・・・」と呟いた(やっぱりあの箱の中なにか入ってたんだ・・・)
「え、え?私仲間外れですかーちょっとー?」
「ごめんね・・・明日の家行くから、そのときいっぱいお話しましょう・・・?あと、これもう話的に誰が入ってるとかわかるし、出たら出たでまた長くなるから私が持って帰っちゃうね」
「え、そんな裏事情で持って帰っちゃうの?平気?このお話ホントにそれで成立するの?」
「いい、・・・世の中、そんなものだよ・・・」
「そ、そうですか・・・」
クロームはの肩にポンと手を置くと、優しく笑いかけてから箱を肩に担ぐ。・・・なんて力だろう・・・。すると、はいきなりクロームの元へ行くと、
何やらさっき取り出していたいくつかの袋を渡している。それを受け取ったクロームはとても嬉しそうな顔をして、応接室を出て行った。それからはすぐさま僕のとこまで戻ってきた。
「・・・さっき、」
「?」
「あの子に何渡してたの・・・?」
から、ものを貰うって言うのがなんか羨ましくて、・・・・・なんかずるい。
僕がから顔を逸らしながらそう聞くと、の方からがさごそという音が聞こえてきた。
チラリと横目で見ると、またあの四次元ポケットだとか抜かしてたポケットから、また袋が出てきた。
「・・・これの中身、なんだと思います?」
「爆弾」
「私はテロリストか。違いますよ!クッキーです!クッキー!!」
「・・・まさかとは思うけど、手作り?」
「はい!」
にこりと笑顔で見せられたのは、さっきのとは少しだけ大きさが違う袋。中身はなんと、の手作りクッキーらしい。・・・料理できたんだ。
新たな事実に少しだけ驚いていると、僕の机に控えめにその袋が置かれる。
「そんでこれは雲雀さんの分です!・・・さらに、ここだけの話なんですけど、雲雀さんのだけ実はクッキーの量多いんですよー」
「っえ?」
「えへへ、いつものお礼です!あのでっかいプレゼントをここで開けられなくて残念ですけど、
これあげられただけで良しとします!あの開閉は、また今度しましょうね!」
「いや、今度はあれをまずこの応接室に入れないから」
「ひどっ!って、あ・・・!も、もうこんな時間だ!それじゃ、雲雀さん私はこの辺で失礼させていただきまーす!お仕事頑張ってくださいねー!」
バタンッ
「・・・もう、さ・・・いい逃げもいいとこだし・・・しかもさ、もう仕事できる状態じゃないでしょ・・・」
一気に静かになった部屋。彼女が出て行った扉を見つめてから、机にちょこんと置かれている袋を見る。
顔全体に広がる熱を感じながら、僕はソファーに腰を沈め目を閉じた。のおかげで、今日の仕事はおあずけだな・・・
ハッピークリスマスー!!
(なんか、こんなに疲れる一日って始めてかも・・・)(精神的にすごいダメージくらった。特にあの女と箱のせいで)
(でも、きみの笑顔を見てたら、)(ああ、今日も平和だったなって思えるんだ・・・)
(ねぇ、これって、どういうことなのかな?)