「・・・なに、やってんの」
「ボスに頼まれた書類を届けにきた」
「・・・で?」
「洗濯物がまだたたまれてなかったから、たたんでたの」
リビングからなにか物音がすると思ったら、
僕の彼女であるが僕の洗濯物をせっせっとたたんでいた(あ、ちょっと、下着まで・・・!)
寝室の扉を閉め、少しだるい身体を動かす
目指す場所はのもと。
たたまれた洗濯物は積まれて山になっていた
僕、こんなにためてたんだ
まぁ、仕方ないか
「昨日の深夜に帰ってきたって、ボスが言ってたの。お疲れ様」
「うん」
山をよけながら、の隣に座る
の視線はまだたたんでない洗濯物を見つめていて、
なんか、ムッとなった(ワォ僕、洗濯物に嫉妬してるよ。笑えない)
そんなこと知りもしない彼女は尚も口を開く
「それで、恭弥のとこ行こうとしたら、それならこの書類を届けてってボスが言ってね、」
「う、ん」
僕はの声を聞いていたらなんだかウトウトしてきて、
彼女の肩にもたれかかる
あ・・・なんか安心する・・・
「恭弥?」
「ん・・・?」
「眠いの?」
やっと、洗濯物から僕に視線を移した
その瞳はどこか心配そうで、僕は可愛いな・・・なんて思いながら、の瞳を見つめ返す
暫く、見詰め合っているとの顔がどんどん赤みを帯びていって、しまいには僕から視線を逸らしてしまった
そんな彼女が可愛くて可愛くて・・・ものすごく愛しい
彼女の照れた横顔を眺めながらそう思った
「恭弥、眠いなら寝てきなよ」
「ううん」
「ううん、じゃなくて・・・。任務で疲れてるんでしょ?寝ておいでよって言っても私が起こしちゃったんだよね・・・ごめんね」
「ううん」
悲しそうに顔を歪め、下を俯く
ねぇ、そんな顔しないで?
たしかに・・・僕は今疲れてる
君がいるのに、寝そうになってる
でも、ね
よく考えて
がいるのにこの僕が寝そうになってるんだよ?
それってさ、自分で言うのもあれだけど・・・すごいことだよね
人が近くにいたら絶対寝ないこの僕が、だよ?
だから、
それほど、僕はに気を許してて、愛してて、そばにいて安心できるってことなんだ
ずっと一緒にいたい
君のぬくもりをずっとそばで感じていたい、と思ったとき
僕はふとに見えないように笑った
こんな風に思うなんて・・・僕は随分変わったなと、思って
昔の僕だったらありえないことだから・・・
いまだ悲しそうに伏せるの瞼を僕の指がなぞる
すると、は身体をビクッと震わせた
あぁ、こんな仕草もすべて愛しい
照れたとき髪の毛をいじるとことか(顔を真っ赤にして)、困ったときに眉を八の字にして笑うとことか(その細くて綺麗な指で頬をかきながら)、
怒るとき人の目をみて叱るとか(真剣に相手を思いながら)、悲しいとき拳を強く握り泣きそうになるのを我慢しているとことか(だけど決して下を向かない)・・・
嬉しいときのあの輝かしい笑顔(僕が何よりも好きな笑顔)
あげたらきりがないくらい
君のすべてが愛しい
「あの、恭弥・・・?」
僕のこの想いが君に届けばいい
言葉にできないくらいの愛しい想いも
全部全部君に届けばいい
・・・そんなこと無理に決まってるのに
僕は指を彼女の頬にすべらす
黙ったまま僕が触るもんだから、は困惑した表情で僕を見つめた
「恭弥ー?どうしたのー?」
の唇から僕の名前が紡がれる度、
僕はどうしようもないくらいにドキドキする
もう何百回と聞いているはずなのに、僕はまだそれに慣れない
「ホントにどうしたの・・・?」
彼女の顔にかかっている髪の毛を僕が耳にかけてあげた
そしたら、今度は無性にキスをしたくなった
僕はもたれかかるのをやめて身体を起こす
すくっと立ち上がる僕を、は首をかしげて不思議そうに見る
の前にあった洗濯物の山を横にずらし、
僕がの前へ腰を下ろし両手を伸ばして、彼女を、
「えっちょっ!?」
「なに?」
「な、なに・・・ってなに!?」
抱きしめる
ぎゅっと、強く強く抱きしめる
昔より、小さく感じる彼女
昔より、もっともっと可愛くなって綺麗になった彼女
髪の伸びて、昔より女らしくなった
弱かった彼女は今ではそんなこと言えないくらい強くなった
そして、白くて綺麗な手は銃を握るようになった
僕はそれが悲しくてしょうがなかったけど、が僕といるために綺麗な手を汚してくれたのだと思うと嬉しかった
すごく・・・これは最低なことかもしれない
でも、それでも、僕は嬉しかった
僕の腕の中でもごもごと動くの後頭部に小さくキスをする
「んなっ!?」
「・・・上向いて」
「えっ」
「早く」
戸惑いながらも、は上を向いた
僕から見れば上目遣いで
もう我慢できない
「キス、していい?」
「・・・ふ、普通聞くかな?そういうこと」
「じゃ、するね」
「・・・どうせ私の選択肢なんてないくせに」
そう言いながらも、瞳を閉じる彼女は
とても可愛らしくて、僕は思わず息をするのも忘れるくらいの
キスを彼女にした
どうしようもないくらいに、
(君が愛しい)