よく晴れた日の屋上。
ひととおり暴れたあとは、それぞれ牛乳、いちごミルク、コーヒー、コーヒー牛乳を持ちのんびりと過ごす。
『いやー平和だねー』
「このでっこぼこしちゃってる屋上を見てよくそんなこと言えるね・・・」
『やったの私じゃないし、臨也だし』
「俺じゃないし、シズちゃんだし」
「臨也が避けっからだろ」
『ほら臨也のせいじゃん』
「ちょー理不尽なんだけど」
フェンスに背中を預け、足を投げ出しながら並んで座るこの四人はなんだかんだ一緒にいることが多い。
というもの、静雄がいるからはいる、がいるから臨也はいる、飽きない友達三人がいるから新羅はいる、となんともシンプルな理由だった。
汚らしくずぞずぞと音を立てながらいちごミルクを飲むはボケーとしながら空を見つめた。
そしてポツリと言葉を零す。
『平和、だなぁ・・・平和・・・平和・・・平和島、・・・ふへへ。平和島です!』
「は?お前はだろ?苗字違うぞ」
「違う、違うよシズちゃん。も間違ってるからね。の苗字は折原だよ」
「それが一番違うけどね」
『将来的に平和島になるんでよろしく』
「認めない、俺は絶対に認めないから。全力で邪魔するからよろしく」
『うざい死ね』
「死なない!」
言い合っていると臨也を無視して、静雄は空になった牛乳を綺麗に小さく丸めながら考える。
(平和島、・・・悪くない、かもな)
と、頭に思い浮かべて一人顔を赤らめた。
それを隠すように言い合っている二人から顔を逸らすが、新羅は目ざとく静雄の変化に気が付く。
(あ、耳が真っ赤だ)
などと、顔を逸らしている静雄の真っ赤な耳を見ながらふふっと笑いをこぼした。
もちろん、と臨也はそんな二人に気付いてはいないが。
『あーもう!臨也と話してるとホントイライラする!!』
「カルシウム足りないんじゃない?あ、ほら、俺のコーヒー牛乳飲む?牛乳入ってるよ?」
『アホか!そんなの牛乳少量しか入ってないでしょ!だからシズくん牛乳ください!』
「もう全部飲んじまった」
『・・・』
「どんまい」
「やっぱ俺の飲むしかないね。ああ、むしろ俺のミルクのがいい?」
『臨也灰になれ』
臨也に冷たい視線でそう吐き捨てると、
は先刻とは180度も違う可愛らしい笑みを浮かべてくるりと静雄の方を向いた。
顔の熱が引いた静雄は再びぼーっと二人のやり取りを見ていたが、突如がこちらを向いたことに驚き、思わず肩を揺らす。
の背後で、そんな静雄にプッと笑いを零した臨也がいたが、静雄の耳には奇跡的に届いていなかった。
『ね、ね、シズくん!』
「なんだよ」
『今日の帰り一緒にマ ック行こう?』
「いいよ」
『は?臨也に言ってないし。お前黙ってろ喋んな。私はシズくんに言ってんの』
「・・・」
「あ、俺も除外?」
『新羅は放課後遊びにさそうとセルティに会いたいしか言わないから論外。ね、シズくんどう?』
「・・・やだ」
『えぇっ!!や、やだぁ!?え、な、なんで!?』
「行くなら・・・俺、ロッ テリアがいい。じゃないと、行かねぇ」
『っ!!(きゅん!)わかった!じゃ、じゃあロッ テリア一緒に行こ!』
「ん、それなら行く」
『っ!!(きゅんきゅん!)』
の喋んな発言を律儀に守っていた臨也だが、ほわほわと二人の世界を作り始めた二人に悔しげに唇をかむ。
もうには静雄しか見えてない状態で、臨也が何を言っても全て無視されるだろう。
そして、臨也は左隣でのん気でコーヒーを飲んでる新羅に対し、無性に苛立ちを感じ胸倉をそっと掴み上げた。
「え、い、臨也・・・?」
「・・・ねぇ新羅、俺の扱いなんて今更だからあえて突っ込まないけどさ・・・今のシズちゃんの発言のどこにときめき要素があったのか俺に説明してよ。本気でわかんないんだけど。ねえ、どうして?どうしてシズちゃんはあんなに優遇されるのかな?マジわかんない。よって俺は説明をもとめます」
「ちょ・・・説明求めるのにどうして俺の胸ぐらを掴む必要があるのかなぁ!?その説明を僕は求める!」
「それはね、俺が今とーてもむしゃくしゃしてるからだよ。何かをギリギリと締め付けないとむしゃくしゃが治まらないからだよ。はい、説明終了」
「これ八つ当たりだよね!」
でこぼこと、気が合うのか合わないのか、仲が良いのか悪いのか、でこぼこと、
―――――――そんなこんなで本日も問題なく、四人の仲は微妙に保たれております。
にほ。
>>>今日も空は青いです。