ここ最近、とシズちゃんと新羅が何かノートに書き込んでいるのを俺は知っていた。
でも内容までは知らなかった。
この俺を差し置いて、3人で内緒で何書いてるのかなって思った。
別に、仲間はずれにされて拗ねてるわけではない、決してね、違うからね、別に俺そういうの平気だし、寂しいとか全然思ってない。
まあそんなわけで、ちょうど新羅がそのノートを持って近くにいたので奪ってやった。
するとどうだろう、新羅が慌てて俺からそのノートを奪い返そうとする。
俺に見せてはならないことでも書いてあるのだろうか?
とりあえず、シズちゃんを毎回撒いてる俺のこの俊足で新羅から逃げて、屋上へ向かった。




***




無事屋上にたどり着いた俺は、早速ノートの中を見ることにした。





「さて、何が書いてあるんだろうなぁ」





俺の予想だと
『私、実は臨也のこと好きなの。もうこれ以上ないってくらい好き、愛してる!(放送禁止用語!!)』
みたいなことが書いてあると思う。
普段口にできない分、こうやってノートでしか俺への想いを語れない、そんな素直じゃないツンデレなが可愛すぎて俺のズボンがきつくなった。





「けど・・・これってシズちゃんや新羅も見てるんだよね?」





ということは、俺とはあの二人にも公認なわけだ。(もちろん全校には公認されてる)
が俺への想いを書いてあるノートを見てるということはそうなるよね。そうだよね。
ヤバイ、今俺の顔相当緩んでる。
多分満面の笑顔になっているだろう。
まあ新羅いわく、臨也の笑顔は気色悪くて見てられない、らしいけど。
失礼な、新羅には負けるよ。
というか、シズちゃんの顔には負けるって。
あ、ヤバイ、シズちゃんの顔思い出したら笑えてきた。あははっ。
一通り不愉快なシズちゃんの顔を笑って、ノートを漸く開く。
やばいやばい、本来の目的を忘れてたよ。
さ、何が――――





「ん?」





一ページ目を見てみた。
の字だ。
そこに書いてある内容は・・・、





「『シズくんは今日もかわかっこいい!!故にモテる。許せん。他の女子がいやらしい視線をシズくんに向けるんだ・・・許せん!! あと、どうでもいいことだけど、他のクラスの女子に臨也のことを聞かれた。どうでもいいから、アイツはロリコンだよと言っといた。そしたらその女子がドン引きした。この前なんて幼稚園児見てハァハァしてたもん!って言ったら半泣きになってた。 これで臨也はロリコンというのが女子の間に広まり、臨也のことを聞いてくる女子は減るだろう!やったね!臨也ぼっち計画成功だよ!』 ・・・・・・まったく、は嫉妬しちゃって可愛いなぁ。俺のこと諦めてもらおうとそういうこと言ったんだろ?うわ、なにこのツンデレ。マジで俺キタ感じする





咄嗟に股間を押さえる。
うわ、この先のページもそういうこと書いてあるのかな?
まずいな、俺もつかな・・・。
ちょっと震えながら次に二ページ目もぺらりとめくる。





「なになに・・・うわ、シズちゃんの字じゃんこれ・・・えーと『ノミ蟲うぜぇ。今日もにセクハラしてた。 腰を擦る臨也に対してがうざそうに油性ペンのキャップはずして投げつけた。それが臨也の顔に当たった瞬間、心の底からざまあと思った。ざまあ。それと、昨日のよくやった。 アイツのロリコンの噂はうちのクラスの女子まで回ってきてて、すげードン引きする女子が続出だった。最高に笑えた。』・・・あはっ





帰りシズちゃんの下駄箱に画鋲敷き詰めてやろ。





「三ページ目ー・・・これは新羅の字だな・・・『臨也のロリコン話を聞いたよ。ダメだダメだって思ったけど、爆笑しちゃった。臨也ってロリコンだったんだーって・・・(のページを今見た)・・・ああ、なんだ、あれが流したんだ。 そうだよね、臨也がロリコンって・・・まあ、ありえそうな話だったから僕も信じちゃったけどさ。は臨也に対しては悪口雑言だよね。見てて面白いけどちょっと可哀想だよ? でも臨也も臨也だよね。彼はまさに意気自如というよ(消しゴムで消されている。)』・・・





今日新羅の鞄の中にはエロ本を突っ込んどこう。



ペラペラとめくってみても、ほとんどの内容は俺のことばかりだった。
なに、そんなに皆俺のこと好きなの?
ごめん、俺はそういう趣味ないから。
俺が好きなのは人間であって、君達じゃないから。
あ、はもちろん別だけどね。ラブ!!
でもさ、このノートちょっと酷いくない?
俺を除け者にして・・・いや、別に拗ねてないから・・・それで3人で書いてるなんて・・・いやだから拗ねてないから。
どうしようか・・・の書いたとこだけ残してあとは全部燃やそうかな?
この前(シズちゃん家の傘)みたくやっちゃおうか。
ビリビリとのページ以外を破り、ポケットに潜ましていた・・・チャッカマンで火をつける。





「紙だからよく燃えるなー・・・俺はに萌えてるけど」





ジリジリ燃えるシズちゃんと新羅(が書いてた紙)。
だいたい燃えたところで、何気なしにグラウンドを見下ろそうとフェンスへ近づいたのだが、





「は、ぁ!?」





グラウンドを見下ろした先に、何故か、仲良く3人並んで・・・とシズちゃんと新羅が並んで校門を出て行こうとする姿が見えた。
ちょ、俺まだ学校にいますけど・・・!?
フェンスをがしゃがしゃを揺らしてみたけど、まあ、気付いてもらえないよね!
悔しくなって(いや別に寂しくなったとかではないから)、さっきまで使っていたチャッカマンを屋上から投げつけた。
もちろん、シズちゃんにだ。
うん・・・そのはずだった。





『いったァァァァ!!!』

「あ?んだこれ・・・チャッカマン?」

「今上から降ってきたよね・・・って、あれ臨也じゃない?」

『はぁ!?』





あ、やべ。
俺が投げつけたチャッカマンはシズちゃんではなくの頭に直撃した。
隠れようとしたのだが、運悪く隠れる前に新羅に気付かれた。
ホント新羅ってKY。
気付くなら俺がまだ学校に残ってるとこに気付いてよ。
そしてと二人で帰らせてよ。





『臨也ァ!あんた何すんのよ!!いったいじゃん!!ねぇシズくん私の心配して!!』

「ノミ蟲、手前ぇ見下ろしてんじゃねぇよ!」

「静雄、の心配してあげて。すごく唇噛み締めて静雄のこと見てるから!」





なんだか腹立つ・・・。
3人でわいわいなんかしてるけど、屋上とは距離があるので何を言ってるのかわからない。
・・・さて、俺もそろそろ帰ろうかな。
別に、あの3人を追って一緒に帰るってわけじゃないから。違う、断じて違うから。
俺もちょうど帰ろうと思ってたからさ、別に・・・。
誰に聞かせるわけでもない言い訳をし、だけのノートを抱え俺は勢いよく階段を駆け下りていった。



待っててよ、俺の










ななほ。


>>>「おまたせ!」『は?待ってない死ね』「(´・ω・`)」