今日もかったるい学校を終え、家の扉を開ける。
あぁやっと安息の地へついた気分。
しかし、玄関には大きな靴。
見たことない、な・・・・・・お父さんのかな?
てかお父さんこんな時間に帰ってこなくね?
そんな疑問を抱きながら、リビングに入っていく。








「ただいまー」

「あらあらちゃんお帰りなさい。これ持ってお部屋に行ってねー」

「え?」








やはりリビングにはお父さんの姿はなく、いるのは台所で夕飯の準備していたお母さん。
そして帰ってきて早々お母さんに渡されたのはケーキと紅茶のカップが2つずつ乗ったお盆だった。
え、夕飯前になに食わせようとしてんのお母さん。お母さんは私を肥えさせたいの?
私がお盆を持って首を傾げていると、お母さんに「とりあえず早くお部屋に行って!」と包丁片手に言われた。
しぶしぶ私はそのお盆を持って二階にある自分の部屋へと向かう。
なんだろ、誰か来てんのかな?いやいやそんな話聞いてない
うーんと思いつつ自分の部屋のドアを開ける。
誰もいないはずの自分の部屋のドアを、だ








「お、やっと来たか。ってそれケーキじゃん!いやーケーキ用意してもらうなんて・・・・・・いやぁあざぁす!!」








勢いよく扉を閉めた。
お盆を持ってダッシュで階段を駆け下りる。
え、どうしようマジで、え?
誰誰誰マジで誰!?
見たことのない知らない人が私の部屋に、いた
なんともいえないあの頭・・・・・・しろ、白髪?
しかもかなり強烈な感じの天パ・・・・・・眼鏡かけたかな・・・・・・ってなんでそんな人が私の部屋に!?
大混乱しまくりな私はとにかくお母さんのリビングに駆け込む








「お母さんお母さんお母さん!!」

「んーなぁに?」

「なぁに、じゃないよお母さん!!私の部屋にいる人誰!?」

「あら先生にもう会ったの?」

「先生!?」








私の学校にあんな先生いないですけど!?
大声で私が言えばお母さんはしれっとした顔で「やぁね、家庭教師の坂田先生よ」
いやいや知らんがな!やぁねってこっちがやぁねだよ!
・・・・・・って、








「家庭教師ィィィ!?」

「そうそう、今日からちゃんに教えてくれるのよー」

「今聞いたんですけど!」

「だって今言ったんだもの」








ど、どうしてそれを今言うのよ・・・!!前もって言ってよ・・・!!
ひくひくとしてるのがわかる口元。
あぁ・・・もう怒りたいけど呆れのが強くてアーッてなってる・・・。
お母さんはそんな私をよそに
「ほらほらちゃん!早くそのお盆持って先生に挨拶しなさい!」
と笑顔で言って私をリビングから追い出した。
ちょマジない











「・・・」

「あ、戻ってきた」

「・・・あのー」

「そのケーキマジうまそー」

「・・・あのー、私、」

「あぁうんちゃんっしょ?俺、坂田銀八。国語全般やりますよろしくいただきます」

「ちょちょっと待ったァァァ!!」

「えぇ!?」








テーブルに置いたケーキを早速食べようとした坂田先生からケーキを奪う。
いやいやいやあなた私の話聞こうよ!








「ちょっともーなにー?ケーキ目の前にして食わしてくんないなんて拷問すぎない、ねぇ?つかむしろ拷問じゃね?」

「ちょケーキケーキうるっさいですよ!」

「いやいやいや俺ケーキは一回しか言ってないんですけど」

「てゆうか私は家庭教師雇った覚えないんですけど!」

「雇ったのは君のお母さんだからね。 んなこと言われても俺困るし、とりあえずケーキ食わして。医者に週一でしかパフェ食っちゃダメって言われてよー」

「じゃダメだろ食うなよ!」








あんたは糖尿か!!
ケーキを持ち坂田先生から思いっきり距離を作る。
そしたらすんごい悲しそうな顔した。
・・・なんなのこの先生!








「もうさーちゃんは何が不満なわけ?」

「・・・全部?」

「全部!?俺全否定じゃん!せめて否定するのはこの髪だけに、いやいやいや否定されても困るけどね。 俺自身だって否定してぇのに他人にされたら余計傷つくじゃん。つかなに、なにがいけないわけ?俺のこの髪の何がいけないの? 俺この髪で何十年生きてると思ってんの?長いよ?けっこー長いよ?なんたって生まれてから一緒!な感じだからね。いやまぁこんな髪と一緒に成長はしていきたくはなかったんだけどさぁ、」








・・・ヤバイ。この人・・・ヤバイよ。
私の脳が警報をガンガン鳴らしまくる。これもう警報ぶっ壊れるんじゃないかってくらいだよ。
目の前の先生は何を思ったか、私の不満が全部先生の髪・・・つまりは天然パーマについてだと勘違いしひたすらマシンガントークをしてる。
なにこれはてしなく迷惑なんだけど。
若干涙目で必死に喋り続けるこの先生は可哀想すぎてなんだがこっちが涙しそうだ。
ってそうじゃなくてね!
この坂田先生は見た目もアレだが頭もアレっぽい・・・・・・どっちもパーっていうかさ








「どっちもパーってなにィィィ!?」

「えっ・・・なんで私の思ったこと・・・」

「全部口に出してたからね。ホントもう先生ショックでかすぎて今日勉強できないんですけどォ。ケーキ食べなきゃやってらんないんですけどォ」

「・・・めんどくせぇ奴だな」

「ちょっとォォォ今聞こえたからね!ばっちり聞こえちゃったからね!なに!?ちゃんってばそんなキャラなの!?」








なんていうかすごいツッコミしまくるなこの人・・・いや、この先生。
とりあえず本格的に泣き出しそうなので、私は大人しく先生にケーキを差し出すことにした。
いやさ、目の前で泣かれたらマジ困るし・・・うん。
私は黙々とケーキを食べ(先生はめちゃくちゃ嬉しそうな顔しながら食べてた)、
先生はキョロキョロと私の部屋を見渡し、ある一点で止まる。








「・・・」

「・・・」

「・・・・・・なんですか」

「いや・・・」

「セクハラですよ」

「見ただけで!?」

「そりゃ乙女の部屋ジロジロ見てるんですからセクハラですって」

「ふーん・・・まぁ確かに乙女だよねー特にアレとか」

「・・・アレ?」

「アレ」








ふいに先生が私の後ろを指さす。
なによ・・・と思って振り返ったら・・・、








「ちょっおまっ見んなァァァァ!!」

「えーそんなこと言われてもさー見えちゃったっていうか」

「だからもう見んなっつってんだろ!やっぱセクハラじゃねぇか!」








ニヤニヤした卑しい笑みで先生は、私の後ろにあるタンスからはみ出てたイチゴ柄のパンツを指差していた。
見てたのってこれかよ・・・!!!
その事実に私は一瞬で青ざめ慌ててパンツをタンスに押し込んだ。
うっわーマジでないんですけどマジでないんですけどォォォォ
キッと先生を睨みつけたが「イチゴ柄とかある漫画思い出すよなー」なんてのん気なことを抜かしながらニタニタと笑っていた。






















チェンジでお願いします



















(マジで嫌っ!帰ってください!国語はね家庭教師雇うほど悪くないのよ!・・・・・・・・うん)
(無理。俺、ちゃんのこと気に入っちゃったし)
(はぁ!?なんですかそれ!とにかく私はあんたが先生なんて嫌です!このセクハラ男!お母さんに言ってやるんだから!)



(はいはーい、呼んだぁ?)
(えぇっお母さん!?いつからいたの!?いや、逆にグットタイミング!私、家庭教師雇ってもいいけどこの先生は嫌なの!だから変えて!)
(あらーどうして?すごく素敵な先生じゃない。お母さんね、先生みたいな人タイプだから変える気ないわよー?)
(お、母さんンンンン!?いやっあのっこの人は・・・!)
(それじゃ先生、残り30分ですけどよろしくお願いしますね〜)
(はい、一生懸命教えたいと思います)
(はい!?あんた何言ってんの!?)
(さ、お母様に言われたことだし勉強頑張りましょうね、さん!)
(誰ェェェ!?)



(いやー理解あるお母さんでよかったなー)
(よくないよ!ホントありえないー!!)
(んじゃ、これからよろしくなーちゃん)
(・・・よろしくされたくないコノヤロー!!)