※一応トキヤンデレ



前までは何とも思わなかった。
ヤキモチは私を好きだからこそ焼いてくれるものだし、心配だって私のことを思ってだということもわかる。
でもね、最近は少しそれが異常だと思うの。



私が出かけるときは、なんで、どうして、どこで、誰と、を細かく聞かれる。
持ち物についてもそう。もらい物と言えば誰にいつもらったのかを問いただされる。
外にいられる時間は夕方の5時まで。それが夏の明るい時間帯でも。
もし破ったら、





「いたっ・・・トキヤ、もっ、や・・・くる、しい・・」

「約束を破ったのは君です。そんな悪い子にはお仕置きでしょう・・・?」





トキヤが私の首をじわじわと絞める。
何か約束を破るといつもそうだ。
けど、約束と言ってもトキヤが一方的にする約束なのに・・・。
もう何十回首を絞められたかわからない。
トキヤの指が私の首に食い込んでいく感覚はいまだに慣れはしない。
意識が朦朧として、声も出なくなってきた頃、ようやくトキヤの手が私の首から外れた。
一気に酸素が肺に送り込まれてきて盛大にむせる。
視界はチカチカとして頭はクラクラとしていた。
いつも、いつもそう。
私が意識を手放しそうになる手前でトキヤは手を離す。
そしてきまってこう言うの、





「っごめんなさいすみません、ああ、私はなんてことを・・・!!」

「とき、や・・・」

「私は、君が好きで・・・約束を破られてとても悲しくて苦しくて、君が私から離れないようにと思って・・・ ごめんなさい・・・ごめんなさい、お願いです、私を捨てないでください。お願いです、置いていかないで・・・」





顔を泣きそうに歪ませたトキヤが私を強く抱き寄せた。
これも最早日常と化したものだった。
耳元でトキヤが同じ言葉を繰り返しているのを聞き続けながら、私がトキヤの頭を撫でるのはもう何十回目になるのだろう。
縋るように私を抱き締めるトキヤはまるで小さな子供だ。





「好きなんです・・・ひとつになってしまいたいほどに、を愛してます・・・」

「うん・・・私もトキヤのこと愛してるよ」

「・・・もっと、もっと言ってください。ああ、キスもしましょう。もっともっとがほしい・・・」





トキヤの手が私の頬に添えられ、熱に浮かされたような潤んだ瞳に私を映す。
その瞳に映りこむ私は私自身でもなにを考えてるのかわからない。
トキヤの唇がそっと私のそれと重なる。
目は合ったまま、何度も何度も。
確かめるように何もかもを奪い取るかのように繰り返されるキス。
唇がはなされる時には呼吸が大分乱れていて、今度は違う意味で意識が飛びそうだった。





「ん・・・ト、キヤ・・・」

「はぁっ・・・この唇が、私だけの名前を囁き私だけに愛を囁く。この瞳が、私だけを見つめ追い続ける。 この耳が、私だけの言葉を歌を聴き続ける。この鼻が、私だけの匂いを覚える。 そうすればいいのに、そうすればは私だけのもの・・・」

「・・・」

「いつまでも私のことだけを考えていてください・・・いつまでも想っていて・・・私ものことだけを考えて想っていますから」





この言葉も、もう何十回目?
トキヤが決めた約束事を破るたびに繰り返されるこの行為に私は何度付き合えばいいのかな。
はたしてこの行為が終わる日がくるのか
トキヤに深く愛されているのはわかる。
私もトキヤのこと愛してる。
でも、どうすればいいかわからない。
トキヤが求めるものが時よりわからなくなる。
未だに、私は本当の彼を見つけられないままでいる。
だけど私はトキヤから離れることはできないんだろうな。
今もそしてこれからもずっと、きっと。
ああ・・・いつになったらこの首輪のようについた首の痣は消えるのかな










分かち合ったのは『愛』でしたか?
(間違ってると誰か、私に、彼に、教えてください)