羨ましい。
自由に砂浜を駆けていく二本足を持つ人間。
私とは違う種族。
ああ、羨ましい・・・。
どこかで人間拾ってその二本足を切り取ってや「ストーップ!!!ちょ、なに怖いこと言ってんの!?」





「・・・お姉さま、いきなりなんですか」

「お姉さま!?確かに設定上はそうだけど俺男だからお兄さまにしてくれないかな!?」

「うっせぇな」

「口悪いな妹!!」

「テメェ十代目になんつぅ口きいてんだ!!」

「ご、獄で、じゃなかった妹(?)1!」

「うわ出たよ。お前設定守れし。十代目って誰だっつの。ここにいるのはお姉さまだけだっつの、バーカ」

「んだと!?テメェぶっ殺すぞ!?」

「ちょ、ちょっと、二人とも落ち着いて!」

「ははっお前らホント仲がいいのなー」

「山も、じゃなかった妹(?)2はどこをどう見てそういうことを思うわけ!?」





あーうるさい。
お前等まとめて海の藻屑になれ。

せっかく私が考え事をしていたというのに喧しく登場してきたのは、私のお姉さま達。
一番上がツッコミが激しいツナお姉さま。(あえてお兄さまとは言ってあげない)
二番目のはツナお姉さまが大好きで口うるさく小姑みたいな隼人お姉さま。(よく本気の喧嘩をする)
三番目のは天然ボケが激しいけど大らかで優しい武お姉さま。(たまにイラつくけど)
・・・そんなとんでもない姉どもを持つ私は、この広い海の中で誰よりも一番美女といわれる
惚れない奴なんていないくらい美人だ。





「オイ、でたらめ言ってんじゃねぇぞ。お前に惚れる奴なんてかなりモテない物好きしかいねぇからな」

「・・・隼人お姉さま、私の心勝手に読まないでよ。あと、あなた人魚じゃなくてタコでしょ。早く深海に消えろ!!」

「あ゛ぁ!?テメェがペラペラ勝手に言ってただけだろうが・・・あと誰がタコだ!!」





私の言った言葉に、心の狭い隼人お姉さまが切れて私の胸倉を掴んできた。(※貝殻ビキニは恥ずかしいので地上で人間が着てるTシャツを着用してます)
妹に何しやがんだ!!と思い、喧嘩を止めようとしたツナお姉さまと武お姉さまを無視して、隼人お姉さまに岩石と言われた頭で頭突きをかましてやった。


(だってムカついたんだもん。仕方ないよね。)


隼人お姉さまは私の岩石頭突きが相当効いたのか、頭を抑えてプルプルと震えてる。


(ざまぁみろ!!)


私は隼人お姉さまが復活する前に素早くその場を退散した。
背後でギャーギャー五月蠅くなんか言っていたが、気にしない気にしない。


***




結構逃げてきた先での海面で、妙に辺り一体が明るいことに気付く。
本当はあまり海面に近づいたりするなって言われてるけど・・・、


(まあいっか、気になるし、つかバレなきゃいいし。)


そう思いひょっこりと顔を海面に出せば、そこには大きな船が。
うおお!と思わず声が漏れる。


(いや、だって、ちょーでけー!ちょーキラキラしてる!ちょーすげー!!)


初めて間近で見る船に私は大興奮した。
いつもはお姉さまに妨害されてなかなか船を間近で見たことはなかったのだ。


(しっかし、いいなぁ!船!!私も乗ってみたいなぁ!やっぱいいなぁ人間!!)


じいっと船に見入っていると、ふと船の先っぽの人影が見えた。
なんだろうと目を細めてみれば、・・・かなりの美形さんがそこに立っていた。
金色の髪は船の光に照らされキラキラと輝きながら海風にふわふわと揺らされて、綺麗としか言いようがなかった。


(ど、うしよう・・・目が離せない・・・)


私が生きてきた中でこんなに綺麗なものを見たことはあっただろうか?
最後に綺麗だと思ったものは・・・やべ、なんだっけ、思い出せない。
うんうん、となんとか記憶を掘り返そうとしていると、どこからか名前らしきものが聞こえた。
やっべ人来たか!?と思って慌てて海に潜り、少しの間大人しくする。


(もういいかなー)


そろーりと海面に顔を出して上を見上げると、さっきまでいた金髪の美形さんはいなくなっていて、ものすごくがっかりした。


(あともう一回だけでも拝んどきたかった・・・)


海面に口をつけ、ぶくぶくと空気というなの不満を吐き出していると、楽しそうな声が船から聞こえてくる。
その声に何が楽しいのかというのは、海の中にいる私には知ることができない。
私も船に乗って一緒に楽しく混ざれたらどんなにいいことだろう。


(それであの金髪美形さんとも知り合いになりたらなぁ・・・うっはうっはだよ)


ずっと人間になりたいと思っていた気持ちはどんどん膨らむばかりで萎んでいくことはなかった。



















私の足が、
(二本であれば良かったのに)